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ミステリの祭典

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殺人容疑

作家 デイヴィッド・グターソン
出版日1996年09月
平均点6.00点
書評数2人

No.2 6点 よん
(2023/07/20 13:29登録)
殺人事件を契機として日系人カズオの過去が回想される。カズオも志願して戦場に赴く。
妻への「愛は深く、人生そのものを意味するが、しかし、名誉の問題を避けることはできない」、自分が戦争に行かなかったら、今の自分ではあり得ないし、妻に「愛してもらえる資格もない」と考え戦場に行き、ドイツの少年を射殺して魂がつぶされていく。この名誉と魂の在り方をめぐる葛藤がなんとも感動的である。

No.1 6点 ◇・・
(2023/06/11 20:28登録)
アメリカ・ワシントン州にある人口五千人の小さな島を舞台にした白人と日系人の二世代にわたる愛憎と自然の織り成す妖しい美しさを精緻なタッチで描いた文学作品である。
濃霧の中、一人の屈強な刺し網漁師カールが漁網の底から死体で発見された。死体の頭部には平らなもので強く打たれた形跡が見受けられた。
真珠湾攻撃の後の日系人の悲しい差別の現実を、作者は多数の資料を集め丹念に描いている。戦場で戦い、深い精神的な傷を引きずった登場人物の心理を深く掘り下げて描かれている。最後は偏見を捨てて正義とは何かを据えて行動する勇気は、アメリカの建国精神がまだ健在であることを思わせる。

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