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ミステリの祭典

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黒い霊気
素人探偵サッカレイ・フィン

作家 ジョン・スラデック
出版日1977年02月
平均点5.50点
書評数2人

No.2 6点 nukkam
(2016/05/11 20:07登録)
(ネタバレなしです) ジョン・スラデック(1937-2000)は米国のSF作家です。本格派推理小説の分野では不可能犯罪トリック豊富な素晴らしい作品を書いたのですが、あまり売れなかったらしくサッカレイ・フィンシリーズはわずかに長篇2作、短編1作のみしか残されていません。売れてナンボの世界とはいえ、本格派ファンとしてはもっと書いてくれてたらと大変残念に思います。本書は1974年に発表された長編第1作ですが、トイレからの消失トリックは「まさか〇〇なんて子供だましのトリックは使っていないよな」と思っていたら本当に使っていて唖然としたのを覚えています。一方スティーヴ・サンディの空中浮遊トリックはなかなか面白いトリックだと思います。総じてなんか読みにくく感じたのは「霊気マンダラ協会」のメンバーが浮世離れしたような人間ばかりだったからかもしれません。もっとも一番浮世離れしていたのはフィンですが。

No.1 5点 kanamori
(2014/05/29 18:23登録)
英国にやってきたサッカレイ・フィンは、降霊会で評判になっている心霊論者の集まり〈霊気マンダラ協会〉に興味を抱き入会するが、そこで、超常現象のような不可思議な殺人事件に立て続けに遭遇することに-------。

素人探偵サッカレイ・フィン長編での初登場作品。
エジプトの護符の呪いや降霊現象などのオカルト的な道具立てがありますが、名探偵フィンの能天気で夢想家のような言動が軽妙で、怪奇的な雰囲気はありません。
いくつかの不可思議現象が提示されるなかで、やはりスラデックといえばトイレ密室でしょうw  ただ、「見えないグリーン」のトイレ密室では、たけし軍団の罰ゲームを思わせるバカ・トリック(=ほめ言葉)がユニークでしたが、本書のトイレからの人間消失の真相はかなりの肩透かし。もう一つの空中浮揚の仕掛けも何となく想像ができるもので、2作目の「見えないグリーン」と比べるとトリック面での出来は落ちると言わざるを得ませんね。
唯一面白かったのは、切り裂きジャックの意外極まる正体をフィンがホームズとなって解き明かす夢想シーンですが、これは本筋の物語と全く関係ないエピソードでした。

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