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ミステリの祭典

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愛の終わりは家庭から
パーブライト警部シリーズ

作家 コリン・ワトスン
出版日2023年06月
平均点7.00点
書評数2人

No.2 6点 nukkam
(2024/02/25 11:49登録)
(ネタバレなしです) 1968年発表のパーブライト警部シリーズ第6作の本格派推理小説です。序盤で検死官、警察署長、そして新聞社宛てに生命の危機を訴える手紙が送られます。パーブライトもこの手紙を読みますが、彼の関心事は憂慮すべきほどに過熱している慈善団体同士の確執でした。慈善活動が必ずしもきれいごとに収まるわけではないのは(例えば)ジャニス・ハレットの「ポピーのためにできること」(2021年)を読んだ読者ならご存じでしょうけど、本書での慈善活動に対する作者の皮肉な視線は大変印象的です。やがて慈善活動家の怪死事件が起き、中盤には問題の手紙の書き手も判明し、謎めいた私立探偵の謎めいた行動が謎を深めるなど地味ながらも読み応えのあるプロットです。推理はそれほど論理的ではありませんが鮮やかに劇的に真相が説明されて十分に納得できました。これまで読んだシリーズ作品でベストという人並由真さんのご講評に私も賛同します。

No.1 8点 人並由真
(2023/07/27 06:57登録)
(ネタバレなし)
 英国の地方の町フラックス・バラ。そこでは中流・上流家庭の人たちによる慈善活動運動が賑わい、社会貢献で承認欲求を満たそうとする者たちの勢いは半ば戦争ともいえる態を見せていた。そんななか、警察署や地方紙の編集部などに、どこぞの女性らしき匿名の者が生命の危険を訴える文書を送ってくる。一方、ロンドンの私立探偵モーティマー・ハイヴは、依頼人「ドーヴァー」の頼みである人物の周辺を探る。やがて、ひとりの生命が失われるが。

 1968年の英国作品。
「フラックス・バラ・クロニクル」シリーズ(別名、ウォルター・バーブライト警部シリーズ)の第6弾。

 評者が読むワトソン(ワトスン)作品はこれで3冊目。
 しかし、これがダントツに面白かった。
 
 事件の構造はかなりシンプルで地味だが、そこがミソ。
 こんな一見、外連味もない事件がわざわざ全12冊のシリーズの中から邦訳4番手として選抜紹介されるのなら、きっと終盤で何かあるハズだ! と予期したが、見事にその期待に応えてくれたものだった! 

 いや、犯人は大方の予想はつくが、ぶっとんだ(少なくとも私にはそう思える)しかし妙に説得力のある? 動機、そして最後に明らかになるとあるサプライズなど、十分にこちらの期待値を超えていた。
(付け加えるなら、中盤のグラマースクールの場面での、いかにも英国風ユーモアのくだりも非常に楽しい。)
 
 紙幅は220頁ちょっとと短めだが、ムダをそぎ落とした感じ(でも小説的な旨味はけっこう多い)でサクサクストーリーが進んでいく感覚も良。

 まだ邦訳は続くというので、楽しみにしたい。
 いや、この一冊で個人的にはかなり、作者の株があがったよ(嬉)。
 評価は0.5点くらいオマケ。

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