home

ミステリの祭典

login
十二人目の陪審員

作家 B・M・ギル
出版日1985年12月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 ことは
(2023/04/23 20:58登録)
裁判を舞台にしたサスペンスで、CWAゴールドダガー受賞作。ゴールドダガーを受賞している割には、ネームバリュー低いな。
解説では、法廷物として2つのタイプをあげて(「弁護士や検事を主人公にした法廷闘争」と「陪審員たちの心理を描く」)、本作はどちらかというと後者と書いているが、どちらのタイプでもない気がした。
三人称/多視点で、複数の人物の心理に踏み込んで書いているが、その書き振りは「冷静な観察者の記述」といった感じのため、「弁護士や検事を主人公」としたヒーロー感や、「心理を描く」サスペンス感も薄味だ。乾いた文体で的確に物語られていき、味わいはハードボイルドが近い思う。
プロットとしては、ストーリーの途中に何個か捻りが加えられているが、選択肢が限られるために、予想がつく人も多いだろう。
ただ、終章の”ある出来事”は、かなり驚かされた。それでいて納得感があったのは、人物の設定/エピソードが伏線として機能していたからで、これはよくできていると思う。
かなり良作だと思うが、自分の琴線に触れる部分は少なかったので、採点はこのくらい。

1レコード表示中です 書評