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ミステリの祭典

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殺戮の狂詩曲
御子柴礼司シリーズ

作家 中山七里
出版日2023年03月
平均点3.50点
書評数2人

No.2 2点 レッドキング
(2023/10/25 23:06登録)
御子柴礼司シリーズ第六弾。今回の依頼人は、老人施設入居者9人を惨殺した介護士。かたや、幼女バラバラ殺人犯14歳元少年あがり弁護士、こなた、悪びれず屈託もなく老人殺戮の「正義」を語る被告。まんま、「神戸少年生首事件」と「相模原身障者殺戮事件」がモデル。有罪明白で死刑判決以外あり得ない事件。何でこんな分かり切った裁判の弁護を引受けたの?Why? がミステリ主幹のはずが、「操り真犯人」落ち・・これが見え透いたネタで・・にシンプルに接ぎ木される。

No.1 5点 HORNET
(2023/05/14 18:50登録)
 入居一時金が1千万円以上という高級老人ホームの職員・忍野(おしの)忠泰は、ある晩、入居者が寝静まった頃合いに施設に侵入し、入居している高齢者9人を次々に惨殺した。「令和最初で最悪の凶悪殺人事件」と世を騒がせる大事件。弁護を名乗り出たのはかの悪徳弁護士・御子柴礼司。元<死体配達人>と令和最悪の凶悪犯のタッグに、裁判の行く末を全国民が注視する―

 目を覆いたくなるような惨殺シーンから始まる冒頭のつかみはよかったのだが、その後の展開があまりに冗長。2016年に起こった「相模原障害者施設殺傷事件」を材にとっているのは明らかなのだが、ミステリとしての仕掛けは一点、それもちょっと小手先的な仕掛けで、物語の多くは「心証が最悪の容疑者を弁護する、心証が最悪の弁護士」に対する事件関係者の対応が描かれている冗長なもので、短・中編でまとめられるようなネタを、シリーズものの強みで長編に引き延ばしたような印象だった。
 そのやりとり自体はまぁ面白く、「もと少年犯罪者が弁護士」という点が本シリーズの核でもあるので悪くはないのだが、逆に言えばシリーズ初読の読者は完全に置き去りにされる作品ではないかと思う。

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