灰色の家 |
---|
作家 | 深木章子 |
---|---|
出版日 | 2023年04月 |
平均点 | 6.00点 |
書評数 | 2人 |
No.2 | 6点 | HORNET | |
(2023/11/26 16:42登録) 常駐看護師の冬木栗子が勤める老人ホーム「山南涼水園」で、男性入居者が滝壼に飛び込んだ。なぜ止められなかったのか…自責の念に駆られた栗子が調べ始めると、遺産問題、派閥争い、色恋沙汰…と、平穏に見える施設内で渦巻く老人たちの黒い秘密が露わになっていく。見えない暗部に栗子の不安が高まる中、入居者の“自殺”がさらに続けて発生してしまうー。 ミステリの体はとりながらも、高齢者福祉施設が抱える人間模様の問題を描くことにも力点が置かれており、読んでいて大変興味深い。フィクションの物語ではあるが、実際にこうした施設で起こっていることを下敷きにしていることは容易に想像できる。 「元刑事」の入居者が、秘密捜査と称して栗子を唆す件はいかにも眉唾物で、この入居者が一番胡散臭く映っていたが、真相は違う方向に行き、よい意味で予想が外れた。要所要所で挿入されるSNSの発信者が、施設内の人間であることはうすうす予見できた。 しかし、施設内に遺体が隠されていることを承知していながら、犯人を炙り出すために放置するなんて…ありか? |
No.1 | 6点 | 虫暮部 | |
(2023/06/22 12:18登録) ミステリを編み込んだ御仕事小説と言う感じで、作者にとっては新機軸? しかしミステリ界を見れば既にあるタイプ。 私はこの作者の、凝ったアイデアと同時に、ミステリミステリした表層を評価する者なので、期待をはぐらかされた感がある。また、舞台を考えると止むを得ないが登場人物が多くて読み分けられなかった。 遺書は、第2章の5で言及されている “文書での正式な謝罪” を流用したものかと思った。それが可能なのは当然、謝罪相手で、そこから犯人に辿り着くのかと。しかし作中ではそんな推測さえされず。ダミー伏線? |