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ミステリの祭典

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ニードレス通りの果ての家

作家 カトリオナ・ウォード
出版日2023年01月
平均点6.50点
書評数2人

No.2 6点 YMY
(2025/03/11 21:58登録)
森のそばに猫と、そして時折訪れる娘と暮らす男には、湖で少女が姿を消した事件の容疑者とされた過去があった。精神に危ういものを孕んだ男の隣家にある日、越してきた女は実は失踪した少女の姉であり、男の秘密を暴こうと密かに目論んでいた。
複数の語り、視点が錯綜する物語全体の構図は、二重三重のどんでん返しまで含めて予想はつくかもしれない。それよりも亡き母を崇拝し、異教的な観念や対人コミュニケーション不全を抱えた怪物の悲痛な精神世界が圧倒的で読ませる。

No.1 7点 文生
(2023/02/24 06:50登録)
本作は英国幻想文学大賞のホラー長編部門(オーガスト・ダーレス賞)を受賞していますが、ホラーというよりもどちらかといえばサイコサスペンスに近い読み味です。物語は、11年前に森で行方不明になった少女の事件に端を発し、森に面した家で娘と一緒に暮らす怪しげな男&その男が失踪事件の犯人である証拠を掴もうと近所に引っ越してきた少女の姉を中心に展開していきます。そして、ユニークなのはその2人に加えて男の飼っている猫が語り手として絡んでいる点です。精神を病んでいるらしい男及び猫の視点で語られる物語は現実味に乏しく、幻想的描写が入り混じったものとなっています。それが凡百のミステリーと一線を画し、幻想文学として評価された点なのでしょう。さらに、驚愕の真相が明らかになる終盤の展開も見事です。仕掛けの根幹をなすアイディア自体はサイコサスペンスの世界ではよくある使い古されたもではあるものの、語り口が巧みで思わず引き込まれいきました。同時に、ハッピーエンドなのかバッドエンドなのかよくわからない結末も味わい深いものがあります。ちなみに、著者の作品は本作で3作連続のオーガスト・ダーレス賞受賞とのことで、過去の2作も読んでみたいところです。

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