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ミステリの祭典

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殲滅特区の静寂 警察庁怪獣捜査官

作家 大倉崇裕
出版日2022年12月
平均点6.00点
書評数2人

No.2 5点 糸色女少
(2024/09/14 21:48登録)
一九五四年以来たびたび怪獣に襲われ、怪獣対策先進国となっている日本が舞台。怪獣省の予報官を話の中心に据えつつ、怪獣出現に伴う騒動の中で起きる事件を描く。
謎解きはもちろん、怪獣省と警視庁という二つの組織の力関係に警察小説的要素が仕込まれているのも面白い。怪獣の特徴を利用した撃退法や死体の処理といった、怪獣もの定番の読みどころも充実。特撮ネタもあちこちに仕込まれている。

No.1 7点 人並由真
(2023/01/30 17:23登録)
(ネタバレなし)
 1954年に日本に巨大怪獣が現れて以降、世界各地で人類をおびやかす怪獣の出現が繰り返される世界。怪獣対策を担当する日本の「怪獣省」、そのエリートで、初の女性の怪獣予報官(怪獣出現以降に、以前のデータや現在の状況などから、怪獣の進路や次の行動を予測する者)となって活躍する岩戸正美。彼女と同僚、関係行政官たちの怪獣との戦いは終わることがなかった。だがそんな中でも、怪獣の出現を機にあるいはその事実に関連し、人間の悪意は別のところで渦巻いていた。

 巨大怪獣もの×新本格パズラーなどと本書の帯などで謳われ、評者のような怪獣ファンには垂涎ものの趣向で書かれた連作三本。作者は2005年の特撮テレビ『ウルトラマンマックス』の脚本を担当したこともある。なお怪獣ファンでなくとも「1954年」という文芸設定の意味のわかる人は多いと思うし、主人公の苗字が『ゴジラの逆襲』の二代目昭和ゴジラ、初代アンギラスの出現地、岩戸島にちなむのもニヤリ。

 とはいえ内容がきっちり新本格パズラーによるのは全三話のうち、最初のものだけで、あとの二つは結構、方向が違う。個人的には大藪春彦の中編みたいな味わいだった第二話(表題作)が一番面白かった。
 第三話は確実に初代ウルトラマンの某エピソードのリスペクト編であることが、評者のような怪獣ファンには登場人物のネーミングなどからもわかるが、どの話になるのかはネタバレになるので、ここでは言わない。

 連作ミステリとしては6点。趣向でオマケして1点追加。 

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