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ミステリの祭典

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馬鹿みたいな話! 昭和36年のミステリ
昭和ミステリシリーズ

作家 辻真先
出版日2022年05月
平均点5.00点
書評数2人

No.2 5点 猫サーカス
(2024/03/15 18:54登録)
駆け出しのミステリ作家・風早勝利は、国営放送局に入社した旧友の大杉日出夫から仕事を依頼された。若手ディレクター四人によるオリジナルミステリドラマの競作が企画され、大杉が演出を担当する回の脚本を書くことになったのだ。脚本は完成し放映当日の夜を迎え、撮影は順調に進んでいたが、なぜかヒロイン役の歌手が再登場しないまま、ラストシーンを迎えようとしていた。テレビの本放送から八年経った昭和三十六年。ビデオテープは登場したが、ドラマのほとんどが生収録・生放送という綱渡り的な作業で製作されていた。そのような状況下、スタジオの中で殺人が起きた。人の出入りのない本番中のスタジオは完璧なクローズドサークルだ。そしてスタジオ内にいた関係者全員の疑いが晴れれば、難攻不落の密室になると風早は語る。主演不在の中、知恵を絞ってドラマを完成させようと奮闘する関係者の行動をスリル満点に活写する。同時にこのシーンは、容疑者を排除し密室の謎を際立たせる効果的かつテクニカルな描写にもなっていることに驚かされる。当時の人気番組、実在の俳優、歌手などへの言及も楽しい。

No.1 5点 HORNET
(2022/12/31 17:29登録)
 昭和三六年、中央放送協会(CHK)でプロデューサーとなった大杉日出夫の計らいで、ミュージカル仕立てのミステリドラマの脚本を手がけることになった駆け出しミステリ作家・風早勝利。四苦八苦しながら脚本を完成させ、ようやく迎えた本番。アクシデントを乗り切り、さあフィナーレという最中に主演女優が殺害された。現場は衆人環視下の生放送中のスタジオ。風早と那珂一兵が、不可能殺人の謎解きに挑む!戦前の名古屋を活写した『深夜の博覧会 昭和12年の探偵小説』、年末ミステリランキングを席巻した『たかが殺人じゃないか 昭和24年の推理小説』に続く、“昭和ミステリ”シリーズ第三弾。ミステリ作家デビュー作『仮題・中学殺人事件』から五〇周年&卒寿記念出版。(「BOOK」データベースより)

 昭和中期、テレビメディアの創成期を舞台としたミステリ。実在の芸能人の名前も数多く登場し、作者自身のノスタルジーを多分に反映した作品と思われる。当時のテレビドラマならではの「生放送」という特徴を取り上げ、その放送中に起きた不可能殺人という設定はまずます。ミステリ、謎解きとしてはまぁ普通作という印象で、トリックや仕掛けにそれほど目を見張るものはないという感想。

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