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ミステリの祭典

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爆弾犯と殺人犯の物語

作家 久保りこ
出版日2022年09月
平均点7.50点
書評数2人

No.2 7点 メルカトル
(2023/05/27 22:33登録)
空也が小夜子のスマホを拾ったことで、ふたりは運命的に出逢う。
小夜子は学生時代に事故によって左目に義眼を入れていた。
空也はその義眼に惹かれ彼女を愛したのだが、事故の原因がかつて自分が造った小さな爆弾であることを知る。
秘密を抱えた夫婦が紡ぐ不可思議な物語。
第43回小説推理新人賞受賞作を所収。
Amazon内容紹介より。

『小説推理』に収録された、表題作を含む二作の出来は素晴らしく、最早ミステリを通り過ぎて文学と称しても問題ないでしょう。無論ジャンルの違う小説形態を比較して、どちらが上かと云った次元の話ではありませんので誤解の無きように。
それらの短編は男女の、己の心の奥を悟らせない様に相手の気持ちを探る会話が何ともじれったく、例えば直情径行な方には不向きと言えるかも知れません。私自身はどちらかと言えばストレートな物言いの方が好みなので、やはりもどかしさを覚えずにはいられませんでした。

そして他の三編は表題作を補完する役割を果たしているのは良いとしても、何処か取って付けた様な印象が拭えません。それぞれ独立した小説と考えれば、それなりに面白く読めはしますが。
全体として複雑なミステリを期待するより、雰囲気や一見普通に見える人物の異常性を異常と思わせないテクニックを楽しむべき作品かなと思います。

No.1 8点 虫暮部
(2022/11/16 09:59登録)
 まず巻頭には、彼女の硝子玉にまつわる、殺伐としつつフラジャイルで、総体的にはだいぶ純粋なアイの物語。言葉の、そしてエピソードの、積み重ね方に確かな感性が窺え、更にそれがプロローグに過ぎないと知って私は驚く。
 新興宗教の扱いも上手いし、漢字大好き少年と言う設定は、読書家に大いに受けるのではなかろうか。
 一読、センス重視の作家に思えるが、例えば各話の長さと配置のバランス等を見ると、結構計算の出来る器用な人かも。どちらにせよ上出来である。

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