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ミステリの祭典

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事件は終わった

作家 降田天
出版日2022年08月
平均点7.00点
書評数2人

No.2 8点 HORNET
(2024/05/19 22:14登録)
年の瀬に起きた「地下鉄S線無差別殺傷事件」。犯人はその場で取り押さえられ、事件は終わった。が、一目散に逃げる姿がSNSで拡散された青年は引きこもりに、最初に切り付けられた妊婦は心が病み、駅の階段から転落した高校生は進路が閉ざされ…。その場に居合わせた人たちの「その後」がそれぞれに描かれる、連作短編。

 2015年「女王はかえらない」で「このミス」大賞を受賞した、コンビ作家。著者の作を久しぶりに読んだが、よく作り込まれた連作だった。
 凄惨な事件に居合わせた人たちの「その後」を題材とした着眼も面白いし、一編一編が丁寧にミステリとして仕上げられている。さらに、各話総じてよい結末で、読後感もよい。最終話「壁の男」では、各短編での伏線を回収しつつ、のどに刺さった骨のように気になっていた、身を挺して犯人に立ち向かった男性の真実についてきれいな着地がなされていて、見事だった。
 もっとフィーチャーされてもいい作家のように思う。

No.1 6点 虫暮部
(2022/11/10 12:23登録)
 ミステリ? ホラー? 少し不思議? ジャンルはともかく、良く出来ている。最終話が一番面白い。
 のだが、この人達に期待するものとは違う、との思いをずっと引きずったまま読んでしまった。のだが、それをあまり言うと “想定内のものだけ書いて欲しい” ってことになるわけで、それも何か違う。うーむ。

 気になった点:オカルト的要素の位置付け(要はアリかナシか)が統一されていない。特に3話目を読んだ時に首を捻った。そうなると4話目の鏡の中のアレも幻覚なのか心霊なのか。連作でこれは戴けない。

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