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ミステリの祭典

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大江戸科学捜査 八丁堀のおゆう ステイホームは江戸で
「大江戸科学捜査 八丁堀のおゆう」シリーズ

作家 山本巧次
出版日2021年11月
平均点6.00点
書評数2人

No.2 6点 びーじぇー
(2023/10/14 21:30登録)
東京馬喰町の古民家で一人暮らしをする関口優佳には秘密がある。祖母から受け継いだ家の納戸を開けると、向こう側は江戸時代の世界なのである。それを知ってから彼女は、現代と過去世界との二重生活を送ってきた。江戸における彼女は、数々の難事件を解決してきた十手持ちの親分・おゆうとして知られる存在なのである。
COVID-19の感染拡大により、巣籠り生活が長期化してきた。窮屈な暮らしに飽きた優佳は、しばらく江戸時代に避難して暮らすことを決める。おゆうとして活動を再開すると、奇妙な調査依頼が舞い込んできた。年端もいかない子供が誘拐されては、何事もなくまた戻されるという事件が続いているのだという。意味不明な犯人の動機を探るために、おゆうは街に出る。
主人公が江戸時代でいかに科学捜査を行うか、という苦労がシリーズの読みどころなのだが、本作では別の関心事が持ち上がる。事件の調査を進めているうちに、おゆうが親しくしている同心が、発熱や味覚障害などの症状を訴え始めたのだ。最後はコロナの時代ならではの見事なオチがつく。軽快かつ密度の濃い物語だ。

No.1 6点 ぷちレコード
(2022/09/28 22:27登録)
自宅の納戸の扉の向こうには200年前の江戸が広がっていて、元OLの関口優佳が、江戸では十手持ち女親分おゆうとして活躍するシリーズ第8作。
設定だけ聞くと馬鹿馬鹿しいと思うかもしれないが、丹念な事件捜査を経て最後に関係者を一同に集めて謎解きをするあたり、本格ミステリの王道だろう。怪しまれないようにDNA採取を行いながらも、その結果を江戸で説明するわけにもいかないジレンマと解決も面白い。
コロナ禍からの避難先が江戸という発想もタイムリーだし、避難が実は危険をはらむことを最後に出してきて、どきりとさせるのも悪くない。おゆうの相棒の同心も相変わらず謎めいていて存在感がある。

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