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ミステリの祭典

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クローゼットファイル
仕立屋探偵 桐ケ谷京介

作家 川瀬七緒
出版日2022年07月
平均点7.00点
書評数2人

No.2 6点 猫サーカス
(2024/06/09 19:03登録)
桐ケ谷京介は高級ブランドと特殊な技術を持つ職人や工場を結びつける服飾ブローカー。コロナ禍でも、高円寺南商店街の小さな店にはオンラインでの依頼が引きも切らない。また服のしわや傷みを見れば、美術解剖学に基づいた知識で筋肉のダメージを読み取れるし、服飾史にも通じているため、事件の背景を推理することが出来る。「ゆりかごの行方」では捨て子に着せられていた大人物のTシャツから親の職業を当て、「緑色の誘惑」では独居老婦人を殺した犯人をさいきんの着衣の趣味から探り当てる。「ルーティンの痕跡」では水森小春の下着泥棒を遺留品の男性用下着の傷み方から割り出した。「攻撃のSOS」では女子中学生の制服のしわから虐待を見抜き、「キラー、ファブリック」ではアナフィラキシーショック死の原因を突き止めた。「美しさの定義」では服飾学校の生徒が使ったミシンの中に残された糸くずと埃から犯人を割り出す。洋服という分かりやすいアイテムを使った物語は推理小説の入門編としてうってつけである。

No.1 8点 虫暮部
(2022/09/27 12:49登録)
 犯人当てではなく、物証からどれだけ飛距離を出せるか、と言うミステリ。服飾は作者の持ちネタのようだし、薀蓄の披露だと言えばその通りだが、きちんと物語として消化されている。類似品がちょっと思い付かない。  

 「キラー・ファブリック」。犯人の服の素材は、直接の手掛かりではなく、事件の構成要素への連想を誘っただけだよね。その辺が紛らわしい書き方になっていると思う。

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