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ミステリの祭典

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秘密
アダム・ダルグリッシュシリーズ

作家 P・D・ジェイムズ
出版日2010年02月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 nukkam
(2022/09/10 02:11登録)
(ネタバレなしです) 2008年発表のアダム・ダルグリッシュシリーズ第14作(コーデリア・グレイを主人公にした「女には向かない職業」(1972年)もカウントすれば第15作)の本格派推理小説で、結果的にシリーズ最終作となりました。田舎の荘園を改造したクリニックに顔の傷痕の手術のために入院した女性ルポライターが殺される事件を扱っています。地味で緻密な描写とじっくりした展開は晩年の作である本書でも相変わらずですが、序盤は目立たなかったある人物のとてつもない過去が暴かれる場面は緊張が走ります。その後はまた地味路線に戻ってしまいますが解決は唐突ながらもそこそこ劇的、しかし推理要素はわずかに「一つの事実が証明」に言及しているぐらいでほとんどが犯人の自白頼りです。犯人が判明したあとも完全には納得していないダルグリッシュが動機を追及する展開は東野圭吾の「悪意」(1996年)や「希望の糸」(2019年)を連想させます。もっとも登場人物リストに載っていない人物が大勢登場する過去の出来事の説明は私には難解で、すっきりできませんでした。

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