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ミステリの祭典

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友罪

作家 薬丸岳
出版日2013年05月
平均点6.50点
書評数2人

No.2 7点 take5
(2022/08/28 09:53登録)
過去の贖罪と世間の誹謗中傷が主なテーマ。
人の振り見て我が振り直せが、
個人的に感じたテーマ。
自分を棚にあげるマスコミと
内面と向き合う主人公の対比。
薬丸岳の社会派としての力がよく発揮された、
600ページの作品でした。
読みやすかったです。

No.1 6点 パメル
(2022/08/17 07:51登録)
ある町工場に益田と鈴木という2人の若者が同時入社する。鈴木には独特の近づきにくさがあり、誰も彼とは打ち解けない。だが一人、益田だけは鈴木との距離を縮め、鈴木もまたそんな益田に心を開くようになる。そして2人の間では友情が育まれていくのだが、しかしふとしたことで、益田に恐ろしい疑念が沸き上がる。鈴木はメディアを騒がせた、あの少年犯罪の犯人なのではないか。考えてみるといくつもの不審な証拠が思い出された。そしてどうも事件の犯人は、実社会に復帰しているらしい。疑いを深めた益田は、疑念を打ち消したい一心で独自の調査を開始する。
この作品が、あの神戸で起きた猟奇的児童殺人をモチーフにしていることは明らか。過去に苦しむ事件の犯人。同時に他の登場人物たちも彼の苦悩と共振する、消してしまいたい過去を抱えている。中学時代の同級生の自殺が今も重くのしかかる主人公。そして流れ着くように工場の事務員に収まった元AV女優。
過去と今が激しく交錯し物語は突き進む。互いの過去を隠したまま、かけがえのない友となり恋人となった今。しかし、ひた隠しにしてきた忌まわしい過去を許すことが出来るのか。友の罪はあなたにとっても罪なのか。
伏線や謎の配置によって読ませる物語ではない。登場人物に己を重ねることで共感し、自分がほのかに抱える暗部をのぞき見するような気持ちで読み進め、そして切っ先の砥がれたような鋭い問いを突き付けられ身震いせざるを得なくなる。
人間は過去から逃れることはできない。しかし友なら理解することができるはず。それでも赦すことができないのはなぜか。ラストの言葉が心に響いた。

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