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ミステリの祭典

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二十面相 暁に死す
怪人二十面相パスティーシュ

作家 辻真先
出版日2021年03月
平均点5.50点
書評数2人

No.2 6点 ◇・・
(2023/10/05 20:05登録)
「少年倶楽部」に掲載された「怪人二十面相」を昭和十二年に読んだ著者がそのキャラクターを活かして描いた作品であり、まさに乱歩直系の二十面相譚。
小林少年を視点人物に、彼の初恋を語りながら、トリッキーな犯罪とスリリングな活劇をいくつも織り込んでいるのだ。例えば序盤では、二十面相が東京と名古屋で一日のうちに犯行を行うという、当時の交通事情を考えるととても実現できそうにない不可能犯罪が描かれるし、複数の密室状況下の事件と、その合理的解明も読者に提示される。これぞエンターテインメントという一冊。

No.1 5点 ʖˋ ၊၂ ਡ
(2022/08/09 15:22登録)
前作よりも冒険とアクションの比重が高くなっているが、大掛かりな仕掛けに変装による入れ替わり、地下の追跡劇と、原点を彷彿させる要素でいっぱい。
そして、単に原点に忠実なパスティーシュにとどまっていない。当時の鉄道事情の盲点を突いたトリックに、さらには乱歩が描くことのなかった小林幼年のほのかな恋も描かている。
原点の空気をたっぷり詰め込みながら、作者らしい味わいも堪能できる。

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