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ミステリの祭典

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二重らせんのスイッチ

作家 辻堂ゆめ
出版日2022年04月
平均点6.00点
書評数2人

No.2 7点 人並由真
(2023/02/18 06:38登録)
(ネタバレなし)
 21世紀のしょうゆ味風に仕立てたアンドリュー・ガーヴというか、これでもかこれでもかの二転三転のツイストぶりにハドリー・チェイスの影を感じるというか。

 いずれにしろ、どことなく全体に、50~60年代の英国技巧派サスペンスの趣がある作品。
 その意味で、期待以上に楽しめた。

 大ネタが早々と明かされるのも、ソノ後に勝負所をもってきた作者の確信行為以外の何ものでもないでしょう。
 最後まで読むと小説としての仕上げには、ちょっとだけ照れるというか、本当にごくうっすらと苦笑したくなるところもあるけれど、それでも色々と工夫を凝らした秀作だとは思う。

No.1 5点 文生
(2022/08/02 14:15登録)
身に覚えのない強盗殺人の証拠が次々と見つかり、主人公が追い込まれていく序盤の展開はサスペンス感があってなかなかいい感じです。しかし、用いられたトリックは誰しもが思い浮かべるであろう古典的なもので、しかも、すぐにネタバレしてしまいます。
むしろ、それに続いて行われる犯人たちによる主人公軟禁の物語が本編ですが、これが妙にほのぼのとしています。したがって、本格的なサスペンス展開を期待していた人は肩透かしを食らうでしょう。巧みな伏線回収の妙は味わえるものの、ミステリとしての仕掛けも小粒です。どちちらかといえば、ミステリ風味の家族小説として楽しむのが正解ではないでしょうか。

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