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ミステリの祭典

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さんず

作家 降田天
出版日2022年06月
平均点7.50点
書評数2人

No.2 7点 HORNET
(2022/12/12 22:28登録)
 「死にきれないあなたのお手伝いをいたします」―毎日に嫌気が差し、この世から消えたいと思う者のもとに渡される謎のQRコードから検索すると、自殺幇助業者<さんず>の専用ホームページに。示されるのは、自死を見届ける「よりそいプラン」と、自死を物理的に手伝う「もろともプラン」の2つ。にっちもさっちもいかなくなったコンビニ店長、刑務所に収監されている男を思い続ける女、赴任先の学校で生徒に裏切られた女教師、自死を選んだ人たちの行く末はは?連作短編全5篇。
 
 <さんず>の通常(?)業務を描いた第1話、2話が中でも面白かった。自殺幇助業を題材にしながらも、その設定をうまく生かしたオーソドックスな謎解きがきちんと組み立てられているのが好ましい。(第一話は、仕掛け方が漫画「怨み屋本舗」みたいだった 笑)。あとはラストの第5話。なんだかんだでいい方向に向かっていくラストは、賛否が分かれるところかもしれないが、私は好ましかった。

No.1 8点 虫暮部
(2022/07/26 17:03登録)
 捻った依頼ばかりで “通常営業” のエピソードが無い強気な構成だ。つまり〈さんず〉の普段の活動など想像がつくだろ、と現代的なスタンスの作者だが、それで正解。このシリーズの中で “普通の自殺” なんて読んでいられませんよ。
 “カウンセリング” が鋭く無慈悲で凄い。あとは野となれって感じで綺麗に落着していない棘々した手触りが痛痒い。絶望した! 跡を濁しまくりの自殺志願者に絶望した!

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