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ミステリの祭典

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フィッシュボーン

作家 生馬直樹
出版日2021年09月
平均点6.00点
書評数2人

No.2 6点 よん
(2023/09/25 13:39登録)
小学四年の夏、日本海を望む港町で陸人と航は匡海に出会った。陸人は暴力団組長の息子、航に両親はなく、匡海の父親は服役中の殺人犯だった。つらい境遇が結び付けた三人だったが、まだ見ぬ未来に向けて共に人生を歩み始める、アウトサイダーとして。大人になったそんな彼らの少年時代がカットバックの手法で詳らかにされ、現在と対比されていく。
金目当てに手を染めた令嬢誘拐が彼らの運命を狂わせていくが、さらに事件から五年後、山中で半ば白骨化した男の遺体が見つかる。不条理な世の中とは、真逆の世界を目指し、繋がりあうことで理想を求めた三人を、現実は孤独な闘いに追いやる。それでも後戻りできない人生を懸け、前を向こうとする主人公の姿を、作者は郷愁をこめて見つめ続ける。大胆に仕掛けるミステリとしての衝撃もある。

No.1 6点 zuso
(2022/07/05 23:15登録)
暴力団組長の父を持つ陸人、虐待を受け児童施設で育った航、愛人殺しの罪で父親が服役中の匡海が出会い、長じてヤクザとなる。やがて3人組は、地元・新潟にある大手製薬会社の社長令嬢誘拐計画を立てることになるのだが。
殺伐とした世界でありながらも艶やかな抒情が紡がれる、それから相手を思いやりながら繋がり合おうとするものの断念と絶望を味わうしかない冷徹な状況。
何よりも驚くのは物語のツイストとどんでん返しで、終盤はまさかの展開となり、予想の上をいく。

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