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ミステリの祭典

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山狩

作家 笹本稜平
出版日2022年01月
平均点7.00点
書評数2人

No.2 8点 人並由真
(2023/02/12 09:17登録)
(ネタバレなし)
 主人公たち(良い連中)VS悪党&汚職捜査官の構図があまりに図式的すぎるのはナンだが、タイトルの意味が(以下略)。
 読み応えとしては、十分に面白かった。
 ヒラリィ・ウォーみたいな「警察小説としての外連味」で語った、和製「シャーキーズ・マシーン」という感じ(実は、そっちの小説も映画もまだ未読で未視聴だが)。

 お話の流れも、色んな意味で、スムーズに行きすぎちゃうようなとこもないではないが、それでもフツーに良作ではあると思う。

No.1 6点 猫サーカス
(2022/07/05 19:10登録)
千葉県の伊予ケ岳という標高336メートルの頂上付近で23歳の女性が転落死する。状況に不審な点があるものの所轄警察署の刑事課は、これを山岳事故として処理した。しかし被害者は以前に、ある男からのストーカー被害を生活安全課に訴え出ていた。県警本部生活安全捜査隊は、ストーカーに起因する殺人事件とにらむが、それでもなお刑事部は事件性を否定する。殺人犯を生安部と妨害する刑事部という図式の中での激しい対立。単なる事件ミステリではなく、生安VS刑事という警察内部の激突は読ませる。生安刑事の会話の中で警察の捜査ミスの例として何度か飛び出す「桶川ストーカー殺人事件」。激しいストーカー被害を受けた女子大生が、「このままでは殺されます。助けてください」と埼玉県警に告訴し、救いを求めたが警察はこれを放置。その結果殺害されてしまったという不祥事だ。当時取材に関わった者として、その教訓が小説の中では生かされているようで感銘を受けた。

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