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ミステリの祭典

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400年の遺言―龍遠寺庭園の死
改題『400年の遺言―死の庭園の死』

作家 柄刀一
出版日2000年01月
平均点5.50点
書評数2人

No.2 5点 nukkam
(2021/02/12 22:00登録)
(ネタバレなしです) 2000年発表の本格派推理小説です。「3000年の密室」(1998年)や「4000年のアリバイ回廊」(1999年)を連想させるタイトルですが登場人物の共通はありません。殺人犯の脱出が不可能としか思えない庭園の謎、衣服を後ろ前にして手首を切り落とされた死体の謎、そして400年の歴史を持つ寺院が秘めた謎といった大型の謎から主人公がなぜ私立探偵に尾行をされたのかといった小さな謎まで実に多くの謎がひしめきます。感情描写が上手くないので損をしていますが終盤には思わぬ人間ドラマまで用意されています。特殊な状況下でしか成立しないトリックですが凝ったアリバイトリックも印象的です。庭園の事件の描写を読んで横溝正史の「本陣殺人事件」(1946年)を連想しましたが、真相を知ると(細部はもちろん違いますけど)改めて「本陣殺人事件」を思い起こしました。ただ全体としては詰め込み過ぎで読みにくかったです。力作であることは間違いありませんが。

No.1 6点 ギザじゅう
(2005/06/08 11:54登録)
 相変わらず大量の薀蓄に大量のトリック。ただし、龍遠寺の謎は新本格の他の作家にも似たようなものがあるぶん、直感的にわかってしまう。その他の細かい点も、推理してわかるものだろうか、と思ってしまって釈然としない点も多い。まぁ面白かったんだけど。
 他に話作りのほうにも、作者の上手さを感じた。主人公の造詣が妙にひねくれている思ったら、最後にそうもってくるとは。

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