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ミステリの祭典

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化け物心中

作家 蝉谷めぐ実
出版日2020年10月
平均点5.00点
書評数2人

No.2 5点 zuso
(2024/04/28 22:15登録)
冒頭から漂う異様なムード。一度取り憑いたら離れない鬼気迫る迫力。
中村座で起きた不可解な事件を通じて浮かび上がる、演じることに魅入られた者たちの業。読後しばらく放心状態。

No.1 5点 猫サーカス
(2022/05/29 18:52登録)
六人の役者が台本の前読みに集まった夜。一人が鬼に食われたが、誰が食われたのかは分からない。鬼が役者の誰かに成り代わっているのだ。足を失ったかつての名女形・魚之介と足代わりとなる鳥屋・藤九郎のコンビが隠れた鬼を探り出す。芸に全てを投じる役者たちの執念と弱さ。舞台に立つことのできない魚之助の心中に渦巻く情念。鬼探しを通じて、平凡な生き方からはみ出した者たちの心情が描かれる。鬼の正体を突き止めた先にも異形としての役者の壮絶な生き方が浮かび上がる。鬼気迫る語り口に圧倒される、精神を激しく揺さぶられる物語。

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