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ミステリの祭典

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白日

作家 月村了衛
出版日2020年11月
平均点7.50点
書評数2人

No.2 7点 みりん
(2025/01/18 17:51登録)
黄道学園は実在の「N高校」をモデルにしたのだろうか?バイト先の塾の生徒が通っていたが、自由な校風で楽しそうだった。やはり通信制の学校や不登校生徒に対する偏見を無くすことは難しい。黄道学園の開校プロジェクトを進め、その理念を誇りに思う秋吉ですらその偏見を完全には払拭できていなかった。そこまでの自家撞着に陥るまでの流れが上手かったが、結末はやや安直か。
月村了衛作品は初めてですが、解説によると「らしくない作品」だそうです。退屈になりかねないビジネス小説を一気読みさせる力量は前評判通り。他のスケールの大きそうな作品も読みます。

〜会社でのいじめは、学校でのいじめの比ではない〜
『七つの会議』や本作を読むと、不正問題や派閥争い、出世競争などで溢れかえる世界に40年間身を置くという現実から目を背けたくなる

No.1 8点 HORNET
(2022/05/22 17:29登録)
 千日出版の教育部門で課長を務める秋吉孝輔は、さまざまな事情で学校に通えなくなった不登校の子に向けた学校「黄道学園」を立ち上げるプロジェクトの中核を担っていた。しかしそんな秋吉に、事業を率いる梶原局長の中3の息子が、謎の転落死を遂げたという衝撃の情報が。プロジェクトは一時中止になり、事故ではなく自殺という噂が社内では急速に広まる。秋吉は部下の前島と調査を開始するが、以前から社長派と専務派が対立する社内。会社の上層部は秋吉に隠蔽を働きかける。少年の死という状況のもと、彼らが気にするのは自社の利益追求と保身だった。

 局長の息子の死の真相を追う、という点で十分にミステリなのだが、それ以上に自らの職にプライドを持つ、働き人の矜持と葛藤というヒューマンドラマとしての魅力が勝つ。社内の派閥抗争の中で暗躍する人事課の男、部下の突き上げに苦しみながらも自らの職業倫理と誇りを貫こうとする主人公、さまざまな要素が絡み合って読み応えのあるストーリーに仕上がっている。結末も非常に気持ちの良い具合で、ストーリーテラーとしての作者の技量に魅せられる一冊。

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