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ミステリの祭典

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あなたの罪を数えましょう
「逸脱種探偵」シリーズ

作家 菅原和也
出版日2018年12月
平均点6.00点
書評数2人

No.2 6点 zuso
(2023/11/09 23:05登録)
作者ならではの痛みの描写能力の切れ味を活かし、読み手の心を刺激的な世界に、密閉された環境で一人また一人と惨殺されていく世界に引き込んでいく。
この模様と並行して、惨劇後の現場で探偵と助手、そして依頼人が事件を発見していく様子も語られ結末へ。それまで観ていた景色が真相を知ると同時に新鮮な形で一変する。あんな真相が判明するとはという驚きがある。

No.1 6点 人並由真
(2022/05/15 02:49登録)
(ネタバレなし)
「逸脱種探偵」の異名をとる、自分の好きな不可能犯罪しか引き受けたくない、その私立探偵。その探偵の助手を務める大学生の亮太は、探偵とさらにその依頼人の青年・三浦秀人とともに、山奥の廃工場に向かう。三浦はひと月前に海外から帰国したらしいが、その間に彼が所属するサークル「日曜会」の面々がこの山奥の周辺に集結し、そこでキャンプ中に行方を絶ったらしかった。そして亮太たちは、その廃工場の周辺に、無残な連続殺人の痕跡を見つける。


『あなたは嘘を見抜けない』に続く「逸脱種探偵」シリーズ第二弾。

 本作はビル・S・バリンジャーみたいに、二つの別の流れの物語が並行して語られる構成で、とある集団の面々が次々と殺されていく物語が先行してスタート。
 それと交互に絡み合う形式で、亮太と探偵たちのストーリーが同時に進行する。

 悪趣味なまでに残虐な描写がたっぷりの内容だが、その中にちゃんといくつもトリッキィな仕掛けを設けてあるのは、なるほど菅原作品らしい。
 最大の大ネタはどこかで読んだような気がしないでもないが、他の中小のネタとの掛け合わせで、なかなか読ませるものには仕上がっている。
 ただし全体としては秀作や優秀作には至らず、佳作どまりという感じ。細かいツッコミをしたい部分もない訳でもないし。
 それでもひと晩、フツーに楽しめた。シリーズ第三弾がしばらく待たされているので、そろそろ出てほしいとは思う。

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