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ミステリの祭典

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あれは子どものための歌

作家 明神しじま
出版日2022年01月
平均点7.00点
書評数2人

No.2 6点 メルカトル
(2022/10/27 22:50登録)
料理人のキドウは異国の地で、8年前に飢饉に苦しむ祖国を揺るがした、ある事件で出会った因縁の相手・カルマと再会する。彼らが口にするのは、事件解決の際に奇策を弄した、行商人・フェイとの思い出話。しかし、新たな疑問がキドウの中に生まれる。「あのとき祖国で、本当は何が起こっていたのか?」。真実を知ろうとするキドウに、カルマは奇妙な寓話を語り出す。「不思議なナイフで自らの”影”を切り離した男の物語」だ。物語の幕が下りるとき、8年前の事件の驚愕の真実が浮かび上がる、第7回ミステリーズ!新人賞佳作「商人(あきんど)の空誓文(からせいもん)」。どんな賭けにも負けない少女の運命を描く「あれは子どものための歌」や、あらゆる傷を跡形なく消し去る医者の秘密を暴く「対岸の火事」ほか、全5編。魔女との契約で、不思議な力を得た彼らをめぐって起こる殺人や陰謀に、人間が推理の力で立ち向かう! 自在な語り口で本格ミステリの謎解きを描く、連作集。
Amazon内容紹介より。

『ミステリーズ!』に掲載された三作はオチが良いですね。特に表題作は素晴らしく個人的にベスト。しかし、全体的に言える事ですが、文章とプロットに難ありです。難解な文体でもないのに何故か頭にすんなりと入って来ないし、誰と誰が会話しているのか分り難かったり、情景が浮かんで来なかったりが頻繁に起こりました。単に私との相性が悪かったに過ぎないのであれば良いのですが。

書下ろしの二作は何だか全く印象に残りませんでした。特に最終話は締まりのない結末に終わり、余韻も何もあったものではありません。
この様な掲載物と書下ろしの合体は、大抵が書下ろしの方がワンランク落ちると云うのが個人的に思うところで、本書もその例に漏れない感が残りました。素材が良かっただけに色々残念な作品だと思います。

No.1 8点 sophia
(2022/07/11 00:11登録)
ネタバレあり

タイトルや表紙からライトノベルのようなものをイメージしていましたが、文章表現は文学的ですし、話もなかなか複雑でした。ジャンルとしてはファンタジーであり、特殊設定ミステリーという趣でもあります。よもや全5話つながっているとも、第1話の因縁の決着が最後に待っているとも予想できませんでした。決着がもう少し劇的であるとなおよかったですが、予想以上に細部まで神経の行き届いた読み応えのある作品でした。再読にも十分堪えるでしょう。しかしどうも最後の方が「るろうに剣心」っぽいんですよね(笑)

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