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ミステリの祭典

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レオ・ブルース短編全集
ビーフもの ほか

作家 レオ・ブルース
出版日2022年04月
平均点5.50点
書評数2人

No.2 6点 人並由真
(2022/06/21 18:55登録)
(ネタバレなし)
 nukkamさんのおっしゃる通り、大方がショートショートのフーダニット(あるいはハウダニット)パズラーで、感触で言うとホックのサム・ホーソンものかレオポルド警部ものをさらにコンデンスにしている感じ。
 遠出した際に電車の中で読むには、これほど重宝する一冊はない。家の中でも、旧式のパソコン(サブ機として常用)を立ち上げて管理ソフトがメモリーチェックするまでの合間にも一編読める(笑)。
 
 特に楽しかったのは、屋敷の敷地内から忽然と自動車が消失する『跡形もなく』。真相は(中略)だがゾクゾク感では随一であった。

 後半の『ありきたりな殺人』は素で読んで、先にまったく同じ話が載ってる(~を読んでる)ので、怪人二重掲載かとビックリしたが、解説をあわてて読んで「ああ、そういうことね」と得心。
 とはいえこーゆーのは、巻末にボーナストラックという名目で、オマケ扱いで載せればいいんでないの? とも思ったりする。まあただでさえ凝った一冊なんだから、さらにややこしい編集にしたくなかったのかもしれんが。

 期待通りに楽しい一冊で、7点に近いこの点数ということで。
(しかし作者には、キャロラス・ディーンの主役編の短編も書いてほしかったよねえ。)

No.1 5点 nukkam
(2022/05/04 16:42登録)
(ネタバレなしです) レオ・ブルース(1903-1979)のミステリー短編集は死後出版の「棚から落ちてきた死体」(1992年)が最初で、ビーフ巡査部長シリーズが10作、グリーブ巡査部長シリーズが8作、非シリーズ作品が10作の合計28作で当時はこれがブルースの短編全集という位置づけでした。その後、ビーフ巡査部長シリーズが4作、グリーブ巡査部長シリーズが3作、非シリーズ作品が5作発見され、2022年に全40作の国内独自編集の全集としてまとめられました。その内9作は世界に先駆けての出版らしく編者のドヤ顔が目に浮かぶようです(笑)。驚いたのが2点、1つは大半が10ページ前後のショート・ショートであること(扶桑社文庫版は40作で400ページに満たないです)、もう1つはシリーズ作品は本格派推理小説ですが非シリーズ作品は犯罪小説が多いことです(中にはホラー小説もありました)。謎解き手掛かりが後出し気味の本格派も少なくないですが、その中ではトリックに驚く「休暇中の仕事」(別の短編で使い回しされてます)と「棚から落ちてきた死体」(場面を想像するとおかしな気分になります)が印象に残ります。30ページに達する短編「ビーフのクリスマス」はページが多いだけあって犯人当てとして充実のプロットで、大胆な犯行トリックも面白いです。

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