無邪気な神々の無慈悲なたわむれ |
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作家 | 七尾与史 |
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出版日 | 2022年01月 |
平均点 | 4.00点 |
書評数 | 2人 |
No.2 | 5点 | 猫サーカス | |
(2025/07/18 19:40登録) 瑠偉を養子に迎えて一年、児宝島への旅行を計画した辻村正樹・京子夫妻。この旅行は、この一年育んできた親子としての関係を実感できる喜びに満ちたものだった。前夜に墜落した隕石の影響で立ち往生していた鶴見夫妻とともに児宝島に渡るまでは。京子と正樹が目撃していくのはいたずらしたような惨劇。島の子供たちは言葉を話さないが、その中で唯一言葉を発する異様な空気感を持った双子が瑠偉に告げる。今年の生き神様に選ばれた聖彌様が呼んでいると。辻村夫妻は、連れ去られた瑠偉を取り戻すため、過酷なサバイバルゲームが始まる。脱出手段も通信手段も断たれた、周囲わずか四キロメートル孤島で次々と舞台を移しながら物語は加速していく。大人たちは子供と戦うことが出来るのか。そして子供たちはなぜ大人を襲うようになったのか。ラスト一行目まで目が離せない。人間の根源的な恐怖を描き出したサスペンスホラー。 |
No.1 | 3点 | HORNET | |
(2022/04/25 21:28登録) 子供を神と崇める信仰が根付く児宝島。事故で両親を失った瑠偉を養子に迎えた一年の記念にこの島を訪れることにした辻村京子、正樹夫妻は、多くの子供が居ながらも、大人が一人もいない児宝島に次第に違和感を感じる。夫妻は島を調べ始めるが、その隙に瑠偉が攫われてしまう。攫ったのは、この島でもっとも神様らしい存在だった――。 プロローグを読んだ時点ではその後の展開に期待をしたのだが、結局そのプロローグで本編の答えを明かしているようなものなので、本編序盤の島の不可解さも、読者としては答えが見えている感じで「長い」という感想になってしまう。 推理らしい推理の場面もなく、ただただ悲劇を追っていくような展開で、ミステリというよりはホラー。ラストもただただ悲劇の終焉という感じで、読み易くはあるものの深みはなかった。 |