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ミステリの祭典

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生者たちのゲーム

作家 パトリシア・ハイスミス
出版日2000年12月
平均点7.00点
書評数1人

No.1 7点
(2022/03/08 21:09登録)
ハイスミスのミステリ第5作はメキシコを舞台にした、殺人事件から始まり最後に犯人が判明するタイプの作品です。しかし解説にも「フーダニットの形式」だがそうである「以前に、とことんハイスミスの作品」だと書かれているとおり、謎解き興味はあまり感じられません。読了後最初の方を適当に読み返してみると、作者が伏線など全く考えていなかったらしいと思いました。
被害者の顔が切り刻まれていた理由は、最後にサウサス警部が「見当がついていました」と語っていますが、ミステリ的にはつまらない理由です。また、主人公テオドールが何度も経験する奇妙な出来事については、最後まで説明がつけられないままです。犯人の意外性はなくはないのですが、その明かし方演出には工夫が全くありません。
しかし、これがメキシコだからこその友情ドラマとしては読みごたえ充分になっているのが、ハイスミスらしいところなのでしょう。

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