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ミステリの祭典

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夜と少女

作家 ギヨーム・ミュッソ
出版日2021年09月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 人並由真
(2022/02/21 05:24登録)
(ネタバレなし)
 1992年のコート・ダジュール。地元の名門高校「サン=テグジュペリ」で、学内でも有名な美少女ヴィンカ・ロックウェルがある夜、姿を消した。ほぼ同時に当時27歳の哲学教師アレクシス・クレマンも行方をくらましており、両者は駆け落ちしたのでは? と噂されるが、その後の去就は不明だった。そして2017年の現在、当時、ヴィンカと同窓で彼女に心惹かれていた「わたし」こと40代前半の人気作家トマ・ドゥガレは、母校の式典と同窓会に参列するが……。

 2018年のフランス作品。
 評者には2冊目のミュッソの作品。先日読んだ『作家の秘められた人生』は、けっこうトラディッショナルな技巧派フランス・ミステリの味わいがあったが、本作は400ページ以上とやや厚めの紙幅に見合った、割と小説として読み応えのある仕上がりになっている。
 
 前半から後半に至るまで、小さい山場とサプライズを適当な間隔で設けた構成で、いかにも職人作家のエンターテインメント然とした感じ。
 後半の二転三転の展開は普通に面白いが、ちょっと作者側の都合を優先したあざとさを一部に感じないでもない。(結局、トマのNYでの2010年のあれって……。)
 あと、黒幕の隠し方がややチョンボだね。
 
 全体としてはフランス・ミステリというより、21世紀の筆の立つ若手~中堅作家の安定作を一冊、読まされた感じ。具体的に国産作家名で言うなら、伊岡瞬とかあの辺のクラスの作家の平均作の感触だ。

 それと、小説そのものの作りがマジメな分、とある文芸ポイントにおいて、おじさんのような古い読者には「え、これでいいの?」と引っかかる面もあった。あんまり書くとネタバレでまずいが、結局(中略)というのは、どうなんでしょう。

 読んでる間は面白かった。それは認める。 

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