三体Ⅲ 死神永生 「地球往事」三部作 |
---|
作家 | 劉慈欣 |
---|---|
出版日 | 2021年05月 |
平均点 | 8.50点 |
書評数 | 2人 |
No.2 | 9点 | 虫暮部 | |
(2022/03/01 12:42登録) 前2巻が主人公の強烈なキャラクターを大きな推進力としていたのに対し、今回の程心は比較的控え目な普通の女性で、おまえ何やっとんじゃあと頭を抱えたくなることもあったが、代わりにSF的アイデアの乱れ撃ちが物語を引っ張り思えば遠くへ来たもんだ。 便乗してくっついて来たようなAAの存在が、しかし意外にいい味出してる。暗号解読も楽しい。最後まで容赦無く追い込みつつ、着地点はまぁ納得。波乱万丈時空の旅で私の脳細胞も活性化したような気分。 おかげで気付いてしまった。“智子遮蔽技術”は変だ。三体世界の協力が無いと、きちんと機能している確証は得られないが、その協力に嘘が無い保証も無い。 |
No.1 | 8点 | 糸色女少 | |
(2022/01/11 22:13登録) 危ういバランスで回避されていた人類を超える科学力を持つ三体文明との全面戦争は、三体側の計略で均衡が崩れ、物語は光の低速化による太陽系の封鎖プラン、空間をゆがめることで太陽系外に光速宇宙船で脱出する計画が飛び出すなど怒涛の展開に。それに伴い人類の文化、政治、経済は大きく変容していく。 光粒による太陽攻撃や、あらゆるものを二次元化する次元破壊など、SFファンにはたまらない魅力的な仕掛けも登場する。 しかし、本作は二つの文明の戦争では終わらず、宇宙全体の存亡というさらに壮大な展開が控えているのだ。 SF大作では大風呂敷はどこまで広げられるかだけでなく、いかに巧みにたたむかが読みどころとなる。本作では、宇宙の時空が多元的に広がり、最後には「本当に」折りたたまれていく。宇宙を丸ごと描いたような世界観は老荘思想にも通じるように思える。 多元宇宙より広い世界があるとしたら、それは人間の想像力だろう。 |