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ミステリの祭典

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大鞠家殺人事件

作家 芦辺拓
出版日2021年10月
平均点6.50点
書評数2人

No.2 5点 虫暮部
(2026/01/31 13:47登録)
 冒頭二割くらい、殆どミステリ要素が無い。代わりに時代背景・戦争・地域的特性が普通小説のように描かれる。これがあまり面白くない。
 事件が起こり始めても、やはり普通小説的背景が強調され気味で動きが遅くサスペンスに欠ける。ミステリ的にもそんなに物凄い謎だとは思えない。
 ミステリに振り切るのではなく、その背景の要素(戦時下の大阪の商人文化)も小説の真ん中に引っ張り出して二本柱に据えているのに、その柱がどちらも弱い。ミステリ賞二冠だってことで期待が強過ぎたかな。

No.1 8点 ぷちレコード
(2024/01/21 22:22登録)
昭和十八年、美禰子は大鞠家の長男・多一郎に嫁ぐ。だが、軍医の夫は間もなく出征に。彼女は大阪で商家・大鞠家の人々と共に暮らすことになる。そして昭和二十年。一族の本宅で奇妙な殺人事件が起き、やがて奇妙な探偵が訪れる。
謎とその解決が織り成すドラマもさることながら、その枠からはみ出したところにある要素が心に残る。悲哀とユーモアの入り交じった船場の描写、時代の移り変わりを経て失われていくものへの郷愁。ただノスタルジーに浸るだけでなく、旧弊なしきたりが人々にもたらす過酷な運命をも描き出している。
時の流れと人々の運命を、謎解きのフォーマットに載せて語って見せる。波瀾に満ちた物語を堪能できる作品。

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