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ミステリの祭典

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大鞠家殺人事件

作家 芦辺拓
出版日2021年10月
平均点8.00点
書評数1人

No.1 8点 ぷちレコード
(2024/01/21 22:22登録)
昭和十八年、美禰子は大鞠家の長男・多一郎に嫁ぐ。だが、軍医の夫は間もなく出征に。彼女は大阪で商家・大鞠家の人々と共に暮らすことになる。そして昭和二十年。一族の本宅で奇妙な殺人事件が起き、やがて奇妙な探偵が訪れる。
謎とその解決が織り成すドラマもさることながら、その枠からはみ出したところにある要素が心に残る。悲哀とユーモアの入り交じった船場の描写、時代の移り変わりを経て失われていくものへの郷愁。ただノスタルジーに浸るだけでなく、旧弊なしきたりが人々にもたらす過酷な運命をも描き出している。
時の流れと人々の運命を、謎解きのフォーマットに載せて語って見せる。波瀾に満ちた物語を堪能できる作品。

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