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ミステリの祭典

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ポストコロナのSF
日本SF作家クラブ編

作家 アンソロジー(国内編集者)
出版日2021年04月
平均点6.50点
書評数2人

No.2 7点 虫暮部
(2021/10/05 12:30登録)
 成程こういうアンソロジーは評しづらいかも。私が特に面白いと思ったのは柴田勝家「オンライン福男」、立原透耶「書物は歌う」。一番期待した作家は飛浩隆なんだけどちょっと物足りないと言うか二重構造があまり生きていないような。各短編がうまい塩梅にばらけているのは編集者の手綱さばきの良さか。

No.1 6点 糸色女少
(2021/10/03 23:47登録)
現代SFの最先端で活躍する作家19人がコロナ後の世界を書いた作品集。
作風もテーマとの距離感もさまざまだが、いずれも閉塞感に包まれた私たちの気持ちを解きほぐすユニークな思索に満ちている。
伊野隆之「オネストマスク」はマスク着用が義務付けられた社会を風刺的に描く。表情が分からず不便だということで、コミュニケーションを円滑にしようと感情が表示されるマスクが開発されるが、不都合が生じ...。リモート勤務の拡大が続けば、本当に起こりそうな物語だ。
過酷な状況を叙情的に描く樋口恭介「愛の夢」のような作品もある。感染症を抑えられなかった人類は、全てをAIに委ね、千年の眠りにつく。その間AIは世界を浄化し、人類の再起動を待つ。だが、約束の時が来て目覚めた人類は、再び眠りにつき、美しい夢を見続けることを選ぶ。
また北野勇作「不要不急の断片」は100字ピッタリで書かれた単文が70個羅列し、ゆるやかに結びついている。SNS時代らしい少ない文字数の表現で、日常と幻想が入り交じった光景を詩情豊かに描き出している。

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