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ミステリの祭典

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ポー名作集

作家 エドガー・アラン・ポー
出版日1973年08月
平均点7.00点
書評数2人

No.2 7点 みりん
(2024/07/21 20:13登録)
エドガー・アラン・ポーのアンソロジーはこれで3冊目なので、再読作品も多かった。『モルグ街の殺人』『盗まれた手紙』『マリー・ロジェの謎』『お前が犯人だ』『黄金虫』『スフィンクス』『黒猫』『アシャー館の崩壊』の全8作が収録されています。
これ1冊でポーのミステリー系作品はほぼ網羅できると思われるので、ポーのアンソロジー何読もうって方はこれから読めばいいのではないでしょうか。特に世界初の名探偵オーギュスト・デュパンシリーズが3作とも揃っているのは嬉しいです。今回初読の『マリー・ロジェの謎』はニューヨークで実際に起こった殺人事件をポー自身がデュパンの名前を借りてプロファイリングしたエッセイといっても差し支えなく、あまりバディものとしての面白さはありません。しかし、デュパンの卓越した分析能力を目の当たりにすると、「推理小説」の原点はやはり推理≒ロジックであると認識しました。いつか私にもトリックではなくロジックを偏重する時代がくるのかもしれません。ちなみに安楽椅子探偵の元祖でもあるそうです。
『黒猫』は3読目ですが、異常心理犯罪小説として大変気に入っています。「乙女の本棚シリーズ」では絵本にもなっており、こちらも強くおすすめできます。

No.1 7点 nukkam
(2021/09/23 22:19登録)
(ネタバレなしです) ミステリーの始祖、米国のエドガー・アラン・ポー(1809-1849)のミステリーは「モルグ街の殺人」(1841年)、「マリー・ロジェの謎」(1842年)、「黄金虫」(1843年)、「お前が犯人だ」(1844年)、「盗まれた手紙」(1845年)の5作というのが定説のようです。他にもミステリー要素のある作品はあって、例えばゴシック・ホラーの名作と名高い「黒猫」(1843年)には犯罪小説要素がありますし、ポー自身を語り手にした(そのためかエッセイに分類されています)「メルツェルの将棋指し」(1836年)では実在した自動人形のからくりの秘密を17の不審点を列挙しながら推理する展開が圧巻です。とはいえミステリー好きとしては最低限前述の5作は抑えておきたいところです。しかし私の探し方が悪いのか国内独自編集の短編集が沢山出版されていますが、5作を1冊にまとめたのはなかなか見つけられませんでした。1973年出版の中公文庫版の本書と2016年出版の集英社文庫版の「E・A・ポー」が条件を満たしています。もっとも後者は3編の詩、ポー唯一の長編作品「アーサー・ゴードン・ピムの冒険」(1838年)、果ては未完の作品まで収めて750ページ近い大ボリュームです。ポーの全貌を知りたいならこちらでしょうけど、ミステリーにのみ絞るなら前者。5作のミステリー以外はショート・ショートの「スフィンクス」(1849年)(怪物を目撃して混乱する男を描いたホラーですが何とミステリー的に合理的に解決されます。何で気づかないんだと突っ込む読者多数かも)に「黒猫」に「アシャー家の崩壊」(1839年)とコンパクトにまとまってます。「モルグ街の殺人」は殺人犯の正体や密室トリックに不満を抱く読者もいるとは思いますが、世界初のミステリーということで完成度については大目に見たいと思います。「マリー・ロジェの謎」は重箱の隅をつつくような検証が読みにくい上にすっきりしない締め括りのため5作中では個人的に1番好みでなかったです。「盗まれた手紙」と「黄金虫」は中盤までの展開が回りくどいきらいはあるものの隠し場所トリックや暗号ミステリーの古典として不滅の価値があります。「お前が犯人だ」は多分5作中では1番無名ですけど劇的かつ無駄のない展開で1番読みやすく、現代ミステリーを読み慣れている読者にはミエミエでしょうがミスリーディングの手法が印象的でした。さすがに今のミステリーと同等の面白さがあるとは言えませんけど、先駆者としての歴史的意義と独創性に敬意を表して7点評価はしたいと思います。

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