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ミステリの祭典

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白い悲鳴

作家 笹沢左保
出版日1991年05月
平均点5.50点
書評数2人

No.2 6点 人並由真
(2025/01/01 13:53登録)
(ネタバレなし)

 歳末から年始にかけて寝床で読んだ中編集。今年のレビューの一冊目がこれである。

 2019年の方の新装文庫版で読了。全4編収録。

 以下、メモ&寸評の感想

①「白い悲鳴」……隠し資金が盗難にあった中堅会社。管理責任を問われて馘首された社員は……。
 最後に落とすならこうくるだろうという面もあるが、あまりモノを考えるヒマを与えずサクサク読ませる作者の話術勝ち。佳作。

②「落日に吠える」……海外勤務から帰国したプレイボーイのエリート社員。彼は仲が良かった兄の変死を探るが……。
 結論への道筋が直感的すぎるという印象も生じたし、中盤の捜査(調査)のくだりも見知らぬ他人にそういう対応はありえんだろ、というリアリティの薄さもある。ただし犯人にちょっと(中略)する真相と、ラストシーンの鮮烈さで点を稼いだ。佳作。

③「倦怠の海」……情人に捨てられた29歳の未亡人。そんな彼女の部屋にその夜、一人の男が飛び込んできた。
 例によっての、男と女の笹沢ロマンを途中まで読まされていたら、最後の3分の1で思わぬ方に話が動いた。佳作。

④「拒絶の影」……日本各地に総計15もの一流ホテルを建てた大実業家のホテル王。その新築の京都のホテルで、ある事件が……。ホテル王はある行動に出るが。
 ミステリ味(推理要素)は少ない話だが、人物配置の妙によってなかなかトンデモな展開を迎える。佳作……でいいかな?

 というわけで、全4作、どれも(ほぼ)佳作。後期の笹沢短編は期待通りに読みやすく、就寝前にもうちょっと何か読みたい時には実にお手頃だった。これはこれで価値のある一冊。

No.1 5点 ボナンザ
(2021/09/23 12:01登録)
近年立て続けになぜか復刊されたものの一つ。どこか厭世的な語り口の短編集で、どれも慣れている人は真相に驚かないだろうが、なぜか引き込まれるものがあった。

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