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ミステリの祭典

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ヴィンダウス・エンジン

作家 十三不塔
出版日2020年11月
平均点5.50点
書評数2人

No.2 6点 虫暮部
(2021/08/25 11:41登録)
 自意識過剰っぽい、雰囲気作りが多少鼻に付く文章。虚仮威しかもしれないが下手ではなく、幻影のイメージ喚起力はなかなか。読んでいる間は目先の展開が面白かったが、さて振り返ってみると諸々良く判らない。特に主人公が寛解した理屈と、もう1人の回復者マドゥの存在感の薄さ。

No.1 5点 糸色女少
(2021/08/23 23:02登録)
まず魅力的なのは、景色であれ物体であれ、静止しているものが全く見えなくなるという架空の病ヴィンダウス症の設定だ。
動いているものしか「見える」と脳が認識しなくなる奇病で、例えば目の前に人がいても動いている口元や手しか見えない。発症者は世界に70人ほどしかおらず、不明な点も多いが、病状が進行すると自我を保てず精神崩壊する。そんな理解しがたい視界や精神的葛藤を、著者は豊かな語彙と巧みな語法で描き出す。
その病を克服した者はふたりだけ。そのひとり、韓国の青年キム・テフンの元に中国から、都市を運営するAI群と彼の体を接続して、その脳内情報処理力を活用したいとの勧誘が舞い込む。地下組織なども登場して物語は不穏の度を増し、やがて神にも比すべき存在との対決にまで発展していく、構えの大きな作品。でも少々、詰め込みすぎかな。

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