クララとお日さま |
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作家 | カズオ・イシグロ |
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出版日 | 2021年03月 |
平均点 | 7.00点 |
書評数 | 2人 |
No.2 | 7点 | take5 | |
(2025/09/06 14:18登録) AIをめぐる世界がどの様に進むか。 近未来をえがくカズオ・イシグロの ノーベル賞後の作品。寄り添い型の ロボットが知性を持つ時その存在が 人と同等になり得るかという哲学的 問いを突きつけられる。しかしまた 太陽信仰を思わせる敬虔なクララの 立ち振る舞いから科学と哲学が反目 するものではないと感じるのも事実。 そんな事を燦々と降り注ぐ日光の下 読み終えて今思うのでした。良書! |
No.1 | 7点 | 猫サーカス | |
(2021/07/26 19:04登録) AFと呼ばれる子供型の自立ロボットが語り手となり、ショップに陳列され買われていくところから始まる。ピノキオやトイ・ストーリー的な寓話かと思いきや「人間とは何か」をめぐって意外なほど律義に異質な知性にアプローチする。まだ存在しない技術を核にソフトなディストピアを描く点やミステリ的な仕掛けで物語を駆動する点は「わたしを離さないで」と共通している。AFは陽光を吸収し、栄養とするためか、クララは太陽に対し信仰めいた思いを抱いている。また、見たものをすべて記憶し、関連づけることで世界を独自に解決する。この二つの前提から論理的に導かれるドラマが深く胸に刺さる。 |