馬疫 |
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作家 | 茜灯里 |
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出版日 | 2021年02月 |
平均点 | 6.00点 |
書評数 | 2人 |
No.2 | 5点 | ぷちレコード | |
(2022/06/13 23:57登録) 舞台は2024年の東京。欧州で再び新型コロナウイルス感染が拡大してパリでの開催が断念され、夏季五輪は再び東京で開催されることに。しかし五輪提供馬の審査会で、複数の候補馬が馬インフルエンザの症状を示す。しかも馬が凶暴化する「狂騒型」の新型馬インフルエンザだった。馬術連盟の獣医師一ノ瀬駿美が新たなパンデミックの調査に乗り出す。 まさにコロナ禍にある現代にぴったりの作品だろう。鳥や豚のインフルエンザは知っていたが、馬にもあるのが新鮮で、その脅威の実情をさまざまな観点から捉える。感染拡大の原因に人為的なものを見出して犯人を追求していく謎解きもいい。やや題材が特殊で専門的な解説が必要となり、会話でかみ砕いてくれるのはいいが、全体的に2時間サスペンス的な安逸感が漂って緊張感をそいでいる印象は否めない。 |
No.1 | 7点 | 虫暮部 | |
(2021/07/20 12:20登録) 獣医学ミステリの力作。説明が上手いので、最初は珍紛漢だった感染症や馬業界のネタも判ったような気になれた。新しい要素を逐次投入して引っ張る計算も的確に機能していると思う。ラストは悪ノリ気味だが、エンタテインメントだし此処はやらなきゃね。 2021年の現実を一部引き継いでの2024年が舞台。独特の臨場感を伴って読めるのは今だけかも? これはやはり、馬に託したコロナ禍の批評なのである。 |