home

ミステリの祭典

login
推定相続人

作家 ヘンリー・ウエイド
出版日1999年03月
平均点6.00点
書評数2人

No.2 7点 弾十六
(2025/07/20 04:49登録)
1935年10月出版。岡さんの翻訳は文句なしです。
本作はハラハラドキドキ。主人公も憎めないキャラなので、皆さん気にいるでしょう。ダメな分家が気取った本家を見返してやろう、と右往左往。いろいろ趣向があって、途中でトーンが変わるのも良い。鹿猟の場面が印象的。初心者にあそこまでさせるってホスト役も大変だなあ、と思いました。
本作にも相続のこととか、インクエストとか、イングランドとスコットランドの違いとか、英国独特のネタが満載で、むしろそっちに興味がある私も十分満足。メインのお話の流れも面白く、ラストも実に良い。
ちょっと気になったのは、三人称のフォーカスが、一瞬主人公から外れるところ。視点は固定してた方が効果的だと思うけどなあ…
トリビアねたは豊富なんだが、原文が入手出来ず、どうしようかなあ。

No.1 5点 nukkam
(2014/09/10 09:12登録)
(ネタバレなしです) この作者には「塩沢地の霧」(1933年)や「死はあまりにも早く」(1953年)のようにいかにも犯人らしい人物を堂々と登場させながら肝心の犯行場面はわざと曖昧に描写する、「半倒叙」スタイルの作品がありますが、1935年発表の本書ははっきりと犯行場面を描いて犯人の正体を明かした犯罪小説です。残念ながら他の作品のようには警察による捜査や推理をほとんど描いておらず謎解きの面白さはありませんが、作中に潜ませた伏線が最終章での意外な結末につながるところはこの作者らしい巧妙さを感じさせます(本格派推理小説としての意外性ではありませんが)。最後の一行の緊迫感もお見事です。

2レコード表示中です 書評