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ミステリの祭典

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推定相続人

作家 ヘンリー・ウエイド
出版日1999年03月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 nukkam
(2014/09/10 09:12登録)
(ネタバレなしです) この作者には「塩沢地の霧」(1933年)や「死はあまりにも早く」(1953年)のようにいかにも犯人らしい人物を堂々と登場させながら肝心の犯行場面はわざと曖昧に描写する、「半倒叙」スタイルの作品がありますが、1935年発表の本書ははっきりと犯行場面を描いて犯人の正体を明かした犯罪小説です。残念ながら他の作品のようには警察による捜査や推理をほとんど描いておらず謎解きの面白さはありませんが、作中に潜ませた伏線が最終章での意外な結末につながるところはこの作者らしい巧妙さを感じさせます(本格派推理小説としての意外性ではありませんが)。最後の一行の緊迫感もお見事です。

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