(2021/07/08 21:55登録)
(ネタバレなしです) ネロ・ウルフが嫌い(苦手)なのは女性と外出ということで本書は日本独自編集でウルフが外出する3つの中編を収めたシリーズ中編集です。もっとも論創社版の巻末解説によると「実際の事件の半分ほどでウルフは外出している」とのこと。私はこのシリーズの良き読者とは到底言えませんけど、そんなに沢山の作品で外出していたという記憶がありません(記憶の自信もありませんが)。どうせなら外出作品一覧を作ってほしかったですね。それはともかく本書に収められたのは本国オリジナルでは第4中編集(1950年)から「死への扉」、第8中編集(1956年)から「次の証人」、第11中編集(1960年)から「ロデオ殺人事件」です。「死への扉」は解決場面に至るまでは文句なしの面白さです。早く解決したいウルフですが事件関係者は非協力的だし警察は堂々と妨害してきます。どんどんページが少なくなってハラハラしますが終盤が残念。はったり(ウルフ曰く「力強い揺さぶり」)での解決です。ここで切れ味鋭い推理を披露できれば傑作だったのに。「次の証人」はウルフが法廷に証人喚問されたというだけでも注目ですが証言台に立つ前に法廷から出ていってしまうびっくり展開、「ロデオ殺人事件」は容疑者の大半がカウボーイ、カウガールとどちらもそれなりに作品個性はありますが本格派推理小説の謎解きとしては推理の説得力が弱いのは残念です。
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