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ミステリの祭典

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ネロ・ウルフの災難 外出編
ネロ・ウルフ

作家 レックス・スタウト
出版日2021年06月
平均点5.00点
書評数2人

No.2 5点 E-BANKER
(2025/03/15 13:49登録)
「ネロ・ウルフの災難~外出編」と名付けられた作品集。別に「(同)災難~女性編」という姉妹編(?)もあります。
どちらもネロ・ウルフが“苦手なもの”というくくりで集められたという次第。まあ、それだけ作品数が多いということなんでしょうね。
本作は2021年に刊行されたもの。

①「死への扉」=洋蘭をこよなく愛するネロ・ウルフ。洋蘭の飼育係が病欠するに至り、後任候補をスカウトするために外出。で、なんだかんだやってるうちに、温室内で女性の死体に出くわすことに・・・。現地の警官の妨害に遭いながらも一家の面々を集めて真犯人を指摘!って書くとカッコいいけれど、これってもしかして「偶然」?
②「次の証人」=ある殺人事件の裁判に証人として出廷したネロ・ウルフ。しかし、事件に疑念を抱いた彼は、裁判所から逃げ出し、事件の究明をすることに。電話交換業界というこの時代ならではの舞台設定。ただ、多数が出てくる交換手の女性の書き分けが甘いような・・・
③「ロデオ殺人事件」=NYの真ん中でまさかのロデオ大会を開催するという剛毅な舞台設定。大勢の人間が集うなか、姿が見えなくなっていたカウボーイが死体で見つかる。そう聞くと面白そうな舞台設定なのだが、途中がとっ散らかっていて、うまくのみこめなかった部分あり。ネロ・ウルフの真犯人特定のロジックもあやふや。

以上3編+ボーナストラックあり。
相変わらずウルフとアーチーのコンビは安定している。
今回は外出しているためか、いつもよりもウルフの覇気がない気はしたが・・・

うーーん。いいんだけどね。どうもね。
いつも高評価にならないんだけど、本作もそうなってしまった。
いい意味でも、悪い意味でも安定感は十分。
(個人的には①が一番いいかな)

No.1 5点 nukkam
(2021/07/08 21:55登録)
(ネタバレなしです) ネロ・ウルフが嫌い(苦手)なのは女性と外出ということで本書は日本独自編集でウルフが外出する3つの中編を収めたシリーズ中編集です。もっとも論創社版の巻末解説によると「実際の事件の半分ほどでウルフは外出している」とのこと。私はこのシリーズの良き読者とは到底言えませんけど、そんなに沢山の作品で外出していたという記憶がありません(記憶の自信もありませんが)。どうせなら外出作品一覧を作ってほしかったですね。それはともかく本書に収められたのは本国オリジナルでは第4中編集(1950年)から「死への扉」、第8中編集(1956年)から「次の証人」、第11中編集(1960年)から「ロデオ殺人事件」です。「死への扉」は解決場面に至るまでは文句なしの面白さです。早く解決したいウルフですが事件関係者は非協力的だし警察は堂々と妨害してきます。どんどんページが少なくなってハラハラしますが終盤が残念。はったり(ウルフ曰く「力強い揺さぶり」)での解決です。ここで切れ味鋭い推理を披露できれば傑作だったのに。「次の証人」はウルフが法廷に証人喚問されたというだけでも注目ですが証言台に立つ前に法廷から出ていってしまうびっくり展開、「ロデオ殺人事件」は容疑者の大半がカウボーイ、カウガールとどちらもそれなりに作品個性はありますが本格派推理小説の謎解きとしては推理の説得力が弱いのは残念です。

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