home

ミステリの祭典

login
歩道橋シネマ

作家 恩田陸
出版日2019年11月
平均点5.50点
書評数2人

No.2 6点 よん
(2023/08/21 15:05登録)
映画「サイコ」のベイツ・モーテルのモデルとなったエドワード・ホッパーの絵画から語り手の個人的記憶につながり、それに関する謎が解かれるまでが流れるように語られる。
「線路脇の家」や、懐中時計消失事件の謎を追う「逍遥」、ある人物の奇妙な行動が終盤で理性的かつ冷酷なかたちで解明される「降っても晴れても」などのミステリ寄りの作品もあれば、一人称の語りが特徴的な「トワイライト」や、人間の想像力が無限だと感じさせる「楽譜を売る男」のようにコメディ色を帯びた作品もある。また「皇居前広場の回転」、「春の祭典」のように、ストーリーではなく一瞬の光景が印象的な作品もある。

No.1 5点 ぷちレコード
(2021/06/29 22:49登録)
ホラー含みのファンタジー作品集。
とにかく見過ごしがちな、日常のさりげない光景や営みを独特の感性で切り取って見せる技は、この作者の持ち味でしょう。
作品は、いずれも断章と呼ぶべき短いもので、「コボレヒ」などわずか2ページしかないが、どことなくひやりとさせられる不思議な小品だ。ミステリ色の強いのは冒頭の「線路脇の家」「楽譜を売る男」「降っても晴れても」のあたりでしょうか。どれも短いので、ゾッとするまではいかないが、雰囲気に満ちた佳品ぞろい。

2レコード表示中です 書評