home

ミステリの祭典

login
僕が答える君の謎解き 明神凛音は間違えない
明神凛音&伊呂波透矢

作家 紙城境介
出版日2021年02月
平均点6.00点
書評数2人

No.2 7点 人並由真
(2022/01/18 08:05登録)
(ネタバレなし)
 四月の末以来、高校に毎日登校しながらも、生徒相談室に引きこもる一年生の美少女・明神凛音(あけがみ りんね)。由緒ある神社の末裔として特異な巫女の血をひく彼女は、あくまで論理的な思考・推理で、いかなる事件の真相も真犯人も言い当ててしまう。だが当人にもその道筋を後から追えないほど神速で行われる緻密な思考ゆえに、真犯人を言い当てたのちにその論拠を説明するのは、当の凛音自身にも不可能だった。凛音の実姉でスクールカウンセラーでもある芙蓉から、内申をよくすることを条件に妹のサポート役を頼まれた「僕」こと凛音の級友の男子・伊呂波透矢(いろは とうや)。さる事情から弁護士への道を強く志望する透矢は、「推定無罪」の法の原則のもとに、真犯人の告発にはその有罪の論拠が開示されなければならないと決意。凛音の思考の筋道を追いながら、真犯人を指摘した彼女の推理の論拠を語るが。

 この作者には、異世界パズラー「ルドヴィカ」シリーズの続きの方を期待していたが、別の路線が開始されてしまった。
 先に前もって真犯人の名が(作中ギミックとして)強引に指摘され、後からワトスン役(実質的な探偵役)がその真相までの筋道をトレースしてゆく……と書くと、まんま麻耶雄嵩の「神様シリーズ」だな。

 とはいえ、できたものは青春ラブコメ、キャラクタードラマ、日常の謎の枠の中でのかなりロジックの構築に力が入ったパズラー、それらを合わせ技した連作ミステリとして結構、面白い。
(まあ、第1話の、あの空間まわりのロジックは、やや強引な気もしたが。)

 一冊目の3エピソードだけだと、パズラー要素はともかく、青春学園シリーズものとしてのテンションがまだ高まっていない感じだが、たぶんその辺は2冊目以降に期待できそう。 
 現状、各ポイントごとにはそんなに目新しいところはあんまり感じないんだけど、トータルとしてはそれなり以上に評価し、今後に期待しておきたい。
 評価は0.25点くらいオマケ。

No.1 5点 sophia
(2021/07/04 16:50登録)
相沢沙呼の「medium 霊媒探偵城塚翡翠」とマツリカシリーズをミックスしたような作品。推理の直線アプローチと迂回アプローチの二段構えの構造は前者の特徴です。設定や大まかなストーリー運びは面白いのですが、如何せんひとつひとつの事件があまり面白くありません。ゴチャゴチャしてますし、推理にも飛躍が多いです。というか「つづく」んですか(笑)ならばこの作品単体での評価は難しいのですが、暫定的にこの点数にしておきます。

以下ネタバレで疑問や不満

第1話 親友の二人が学年が違うという設定にした意味はあるのか。
第2話 犯人が落ち葉を体に付けて教室に入ってきた可能性がなぜ無視されているのか。あと校内の見取り図が欲しい。
第3話 逢引きが真相なら鍵を持っていればレンチはいらなかったのではないか。窓から見えない死角で飲食ぐらいは出来たのではないか。

2レコード表示中です 書評