home

ミステリの祭典

login
人形村の殺人
弥生原公彦シリーズ

作家 篠田秀幸
出版日2001年06月
平均点6.33点
書評数3人

No.3 5点 nukkam
(2016/01/27 18:32登録)
(ネタバレなしです) 2001年発表の弥生原公彦シリーズ第3作の本格派推理小説です。作者が「私の『八つ墓村』です」と述べているように横溝正史の大傑作「八つ墓村」(1949年)の影響が強い作品です。登場人物が様々な形で感情をむき出しにしていた横溝作品と比べると、本書は冷静沈着かつ丁寧に謎解きに取り組む場面が多く、怖くもなければどきどきもしませんがこれはこれでありでしょう。中途半端なコピー作品になるよりはるかにましだと思います。物語の3分の2ほどで早くも「読者への挑戦状」が叩きつけられ、3つの謎が読者に突きつけられますが、この真相がいずれもすっきり感がないのが残念。特に1番目の謎解きは随分ページを費やして説明しているのですが結局は消化不良気味に幕引きしています。現実の事件を下敷きにした謎だけに解決の落としどころが難しいのは理解できるのですが、これでは「読者への挑戦状」が看板倒れではないでしょうか。

No.2 7点 初老人
(2014/04/21 01:08登録)
この作品の特徴としては、過去に起きた冤罪の可能性がある事件に違った角度から光を当て、再検証するといった所にあると思うのですが、どうも自分は余り出来の良い読者ではないらしく、二問ある作者からの犯人当ての挑戦と雪密室の解明にばかり目がいってしまい、そういう意味ではとても楽しめた作品でした。

No.1 7点 E-BANKER
(2010/05/23 18:37登録)
弥生原公彦探偵譚の第3弾。
本シリーズは、「過去の実在の未解決事件+現在の事件」という体裁をとっていますが、本作品は、有名な「狭山事件」(作中では『笹山事件』)の解明に加え、現在の不可能状況に彩られた連続殺人事件の解決に挑んでいます。
「狭山事件」の解明は、これまでの研究者の受け売りに作者の考えを若干加えた・・・という感じですが、なかなかの迫力で、本筋であるはずの現代の事件よりもよっぽど面白く読めます。
一方、現代の連続殺人は、いわゆる「足跡のない殺人」トリックですが、不可能状況を煽った割には陳腐な解決だなぁーというレベルで残念です。
ということで、全体的にはこの程度の評価ですが、作品の雰囲気や重厚感という意味では、作者の中で1,2を争う作品かもしれません。

3レコード表示中です 書評