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ミステリの祭典

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大迷宮
金田一耕助シリーズ(ジュブナイル)

作家 横溝正史
出版日1976年01月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 人並由真
(2021/04/11 18:04登録)
(ネタバレなし)
 その年の夏、東中野での興業で市民の人気を博したタンポポ・サーカス。だがそこの花形スターである空中ブランコの芸人、銀三少年がいずこかへと姿を消した。それからまもなくして中学一年生で同サーカスのファンである立花滋は、従兄弟の大学生、立花謙三が待つ軽井沢に向かう車中で、銀三そっくりな少年に出会う。やがて謙三とともに山中を彷徨う滋は、奇妙な洋館に入り込み、怪異な事件に遭遇した。謙三は知己の名探偵・金田一耕助の出馬を仰ぐが。

『少年倶楽部』1951年1月号~12月号連載。
 評者は今回、蔵書である偕成社の叢書「ジュニア探偵小説」の5巻(昭和43年4月初版。装幀・カバー絵:沢田弘、さし絵:岩田浩昌)で読了。

 うー……。少年時代から楽しみにして読まずにとっておいた一冊だが、想像を超えて(下回って)ツマラン……(涙)。

 だって金田一耕助(等々力警部も登場)VS「(中略・あえてネタバレを気にしてまだ秘す))」だよ。
 作者がそれまで別途に著述していた二大キャラクター(後者はまだ1回しか出てないが)による「巨人対怪人」の構図、趣向、コレに期待しないワケはない。
 ところが実際の中身では、両者たがいにマトモに顔合わせもせず、盛り上がらないこと甚だしい(怒)。
 わたしゃ、あのヒトが耕助に面と向かい
「ふっふっふ。貴様があの噂に聞く、一柳家の怪異の真相を暴き、獄門島の凶事を解き明かした名探偵か。いちど会って戦ってみたかったぞ」
 くらい言ってくれるものと……(大泣)。そんな外連味かけらもないんでやんの!
 ここまでオイシイ趣向を用意しておいて、少年マンガしないでどーするっ!!
 
 少なくともジュブナイルミステリ(スリラー)分野に関しては、ヨコミゾが大乱歩の足元にも及ばないことは改めてよ~くわかった。
 大傑作『宇宙怪人』の爪の垢でも煎じて飲んでもらいたい。

 まあ細部で妙なまでに、ミステリ的なギミックやサプライズをいっぱい盛り込んでいることだけは認めましょう。たぶんここが見せ場なんだろうというところもいくつかあって、そのうちの一部はソコソコ、ちょっとこちらの心の琴線にヒットしたし。
(それにしてはどんでん返しの仕込み(伏線)が、本当にネタを割るその直前からだとか、いろいろ造りがしょぼいけど・汗。)

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