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ミステリの祭典

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烏は主を選ばない
八咫烏シリーズ

作家 阿部智里
出版日2013年07月
平均点6.50点
書評数2人

No.2 6点 メルカトル
(2021/05/16 23:07登録)
八咫烏が支配する世界山内では次の統治者金烏となる日嗣の御子の座をめぐり、東西南北の四家の大貴族と后候補の姫たちをも巻き込んだ権力争いが繰り広げられていた。賢い兄宮を差し置いて世継ぎの座に就いたうつけの若宮に、強引に朝廷に引っ張り込まれたぼんくら少年雪哉は陰謀、暗殺者のうごめく朝廷を果たして生き延びられるのか…?
『BOOK』データベースより。

シリーズ一作目の『烏に単は似合わない』の裏で何があったのかを描いています。とは言っても、ストーリーは全く別物で登場人物もほとんど違います。前作とは表裏をなしており、陽と陰と言っても良いでしょう。まあどちらもその両方の要素を有しているとは思いますが。ただ前作の様な煌びやかな女性同士の妃争いとは違い、如何にもな男臭い世界を描いています。この両者はもともと一つの物語であったそうで、松本清張賞の応募に際して真っ二つに分断したようです。

本作はぼんくらと呼ばれ、日嗣の御子の座を狙う若宮の側仕えとなった少年雪哉と、主の若宮の個性のぶつかり合いが読みどころとなっており、更にはサブキャラたちもアクが強い人物が多くラノベ的なキャラ小説としても楽しめます。時代は平安時代と思われますが、あくまでファンタジーなので時代を感じさせる堅苦しい会話もなければ、複雑な人間関係もありません。しかし、しっかりと抑揚を付けたストーリーは安心して読め、時にハッとするような情景描写もあったりしながら、万人受けする内容に仕上がっていると思います。
一作目が妙に印象に残っていて、改めて読んだらもっと素直に楽しめるかも知れません。5点でしたが6点に変更するべきか迷っています。

No.1 7点 虫暮部
(2021/03/30 12:30登録)
 権謀術数渦巻く謀略サスペンスは苦手。否応無しに群像劇になるけれど、私は勢力図の把握が下手だから。
 本書でもそれは変わらず、結末の多分大いに驚ける筈のところでピンと来なかった。
 面白かったのはやはり含むところ大アリの主従のキャラクター。思惑の交錯。練り込まれた文章は隅々まで余さず味わいたい。

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