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ミステリの祭典

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テンプラー家の惨劇

作家 ハリントン・ヘクスト
出版日2003年05月
平均点5.50点
書評数2人

No.2 5点 nukkam
(2014/08/28 17:35登録)
(ネタバレなしです) ハリントン・ヘクストはイーデン・フィルポッツ(1862-1960)の別名義です。本書は1923年発表の本格派推理小説でフィルポッツ名義の「赤毛のレドメイン家」(1922年)との類似点もありますがテンペラー家の人々の描写にかなりのページを割いている点は本書の特色でしょう。もっとも内容は人生観や価値観の主義主張が多く、普通の意味での家族の会話を期待すると肩透かしを食らいます。国書刊行会版の巻末解説にもある通り、犯人当てとしてはアンフェアです。但し最後に残った容疑者数が少ないため犯人は当てやすいです。評論家がよく誉めている「風変わりな動機」は人によって感じるところは色々でしょうが珍しいことは確かです。kanamoriさんのご講評の通り、この内容で本格派推理小説として仕上げたのが作者の失敗かもしれません。

No.1 6点 kanamori
(2010/04/11 19:15登録)
英国の名門テンプラー家一族の皆殺しを図る連続殺人を描いた本格ミステリ。
この作品には「赤毛のレドメイン家」と同じ要素の批判があると思います。物語が古臭い、トリックが陳腐、明らかにアンフェアな表現、警察が無能すぎる、犯人は残った人物だからミエミエなど。
しかし、真犯人の比類ないような特異な性格を描いた人物造形は一読の価値あり。作者の失敗は、これを本格ミステリとして書いたことだと思います。

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