home

ミステリの祭典

login
エゴに捧げるトリック

作家 矢庭優日
出版日2021年01月
平均点7.00点
書評数2人

No.2 7点 メルカトル
(2021/06/10 22:38登録)
催眠術士の養成校に通う「僕」こと吾妻福太郎は、怪物EGOとの戦いに向け、パイ、鋼堂タケシ、R王子、パートナーのイプシロンらと卒業試験に臨んだ。だがその最中、鋼堂が変わり果てた姿で見つかると、皆はなぜか「福太郎が犯人」と証言し事件を隠蔽しようとする。"真実しか話せない催眠"をかけあってなお覆らない証言に苦しみつつ、僕は捜査を続けるが……。本書に仕掛けられた、人類の存亡を左右するトリックとは?
Amazon内容紹介より。

何だか平板で、催眠術の事ばかり書かれていて、一向に話が進まないのでややダレました。登場人物は少なく混乱することはないし、それなりに個性があって、その意味ではまずまず楽しめました。しかし、正体不明のEGOが何者なのかはっきり書かれていない為、イマイチ作者の意図が掴めません。事件も一向に起こらないし何がどうなっているのかも分かりません。

中盤でやっと閉鎖された空間での殺人が起こります。しかし、誰も慌てた様子もなく、本格的な捜査も始まらず、これ本当にミステリなの?と思ったりもしました。そうか、SFなのね、だから仕方ないのか、でも・・・。
でも、終盤いきなり怒涛の展開が待っていました。これか!この仕掛けの為に様々な布石が打たれていたのかと、深く納得。これは今までにありそうでなかったパターンじゃないでしょうか。新鮮な驚きと衝撃が私を打ちのめしました。EGOとは一体何なのかも、何故催眠術が必要だったのもはっきりして、読む者の動揺も鎮めてジ・エンド。なるほど、確かにSFだけどミステリですねえ、うーん。

No.1 7点 虫暮部
(2021/03/03 14:08登録)
 キャラクターや物語としての吸引力は少々物足りないが、それはそれとしてよくまあこんなことを思い付いたものだ。考えていた揚げ足取りは件のトリックで全てチャラ。
 但しソレは結末でアッと驚かせるべく配置されているので、同系統の某作のように謳い文句として売りに出来ないのは苦しいね。SF設定だけど少しでも多くのミステリ読者の目に留まって欲しい。

2レコード表示中です 書評