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ミステリの祭典

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水に描かれた館

作家 佐々木丸美
出版日1978年09月
平均点5.00点
書評数2人

No.2 5点 ボナンザ
(2017/01/15 00:05登録)
崖の館に続く二作目。前作のネタバレ全開のため必ず順番は守ること。
いつものごとく少女趣味満載の語り口だが、本作ではそれが一種のトリックになっているともいえよう。

No.1 5点
(2016/02/19 23:04登録)
本作は、精神が肉体・物質を完璧に支配下に置いている世界を舞台にしています。その意味ではファンタジーあるいはSFです。ですから、「日蓮上人が念仏をとなえて神風を起こした」(創元推理文庫版p.339)なんて伝説もこの小説中ではあり得るのです。現実の歴史では、日蓮は念仏信仰など国に災厄をもたらすだけだと主張したことで有名です。
トリックもそのような世界であればこそ可能なもので、しかも設定自体が不明瞭なため、基本構成自体は新本格派ファン好みのいわゆる館ものですが、アシモフやランドル・ギャレットのようなフェアな謎解きミステリには元来なり得ません。
館に住む少女涼子の主観が非常に多く、それも事件についてよりも自分の恋について、人間の運命など哲学的なことについてなど、様々な思いを溢れさせていて、その中に溺れることができる人なら、はまりそうな作品です。

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