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ミステリの祭典

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江戸染まぬ

作家 青山文平
出版日2020年11月
平均点7.50点
書評数2人

No.2 8点 ALFA
(2023/11/23 08:19登録)
作者の端正な語り口が気に入って選んだ2冊目の短編集。
中でもお気に入りは表題作「江戸染まぬ」。じわりと滲みるサスペンス風味から一気に捻りの効いたクライマックスへの構成が見事。
「日和山」「台」もいい。片や活劇、片や人情喜劇からいきなり歴史が顔を覗かせてのエンディングというのが痛快。

このサイト的にマッチするのは表題作のみだが、楽しめたので1点オマケ。

No.1 7点 小原庄助
(2021/01/20 09:26登録)
収録されているのは7作。家族に対するさまざまな思いを抱く武家の妻の心中を描いた「つぎつぎ小袖」から、兄が一目ぼれした相手を横取りしようとした放蕩児の次男が、意外な出来事により、生き方を変える「台」まで、どの作品も味わい深い。
しかも短い枚数にもかかわらず、ストーリーは曲折に満ちていて、容易に先を読ませない。ひょんなことから江戸に行った男が、町に新たな文化をもたらす「町になかったもの」や、ふらふらと生きて用心棒になった男の前に、いきなりある史実が現れる「日和山」など、語り口の妙が楽しめるのだ。江戸の空の下に息づく七人の人生が、小説の名手により、鮮やかに切り取られているのである。

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