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ミステリの祭典

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罪人が祈るとき

作家 小林由香
出版日2018年03月
平均点5.50点
書評数2人

No.2 6点 zuso
(2023/09/17 22:52登録)
いじめの渦中で死を考えている男子高校生の時田と、かつていじめにより子供を自殺で失った風見という中年男の視点を中心に、加害者側の意識の軽さや被害者側の絶望感、周囲の人間たちの及び腰な姿勢を描いている。
加害者たちを殺して自分も死のうという時田の現在進行形の物語と、息子の自殺へ追い込んだ犯人を捜す風見の物語は、それぞれにミステリとして読ませると同時に、お互いに絡み合って更なるうねりを生じさせ、心に響く結末へと到達する。そのうえで、いじめの加害者への怒りを強く感じさせるだけに、復讐の是非を深く考えさせる作品となっている。

No.1 5点 メルカトル
(2020/12/29 22:20登録)
少年が住む町では、三年連続で同じ日に自殺者が出たため「十一月六日の呪い」と噂されていた。学校でいじめに遭っている少年は、この日に相手を殺して自分も死ぬつもりだった。そんなときに公園で出会ったピエロが、殺害を手伝ってくれるという。本当の罪人は誰なのか?感動のヒューマンミステリー!
『BOOK』データベースより。

初めましての作者さん、可もなく不可もなしの出来でした。どちらかと言うと、ジュブナイルではないけれど子供向けの作品の様に感じました。平易な文体で読み易いのは良いけれど、内容もそれに比例してそれらしさを装っているものの、いかにも浅い印象は免れません。
学校でいじめ(またまた)に遭っている主人公の少年が、謎のピエロと共謀していじめの相手に復讐、殺害しようとするパートと、いじめのせいで妻子を失った中年男性のパートが交互に描かれています。根底にはいじめの被害者やその家族には、果たして報復が是か非かと云うテーマが流れています。デビュー作『ジャッジメント』は未読ですが、何だか共通するものがあるようですね。そこを鑑みると、作者の引き出しの少なさが見え隠れしているような気がしてなりません。

Amazon他世評は高いようですが、意外性の高さやプロットの妙などは微塵もありません。いじめの実態の生々しさもいじめられる側の絶望感もないがしろにされている為、どこか絵空事にしか感じられません。ただ、後味は悪くありません。読者の心に何かしらの救いを齎したのは好印象を残す事でしょう。

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