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ミステリの祭典

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亡者は囁く
私立探偵・槇野康平&刑事・東條有紀

作家 吉田恭教
出版日2016年09月
平均点5.50点
書評数2人

No.2 5点 nukkam
(2025/10/11 00:45登録)
(ネタバレなしです) 2016年発表の槇野康平&東條有紀シリーズ第2作の本格派推理小説です。シリーズ第1作の「可視える(改題「凶眼の魔女」)」(2015年)と比べると全体的におとなしくなったような印象を受けました。槇野と東條の関係は非常に協力的になっているし、猟奇的事件を扱っていてもグロテスク描写は控えめです。オカルト要素も終盤にちょっとあるだけです。謎解きとしては犯人当ては捜査を後追いしていくうちに段々と判明して読者が推理する余地はあまりありません。人間関係が複雑に過ぎるように思います。突然踊りだして焼死するという不思議な謎が印象的でしたが、あんな複雑な仕掛けでそんなに上手く成立するのだろうかと疑問に感じました。

No.1 6点
(2023/07/26 22:01登録)
元刑事の槇野康平は鏡探偵事務所で働く調査員です。その意味ではコンチネンタル・オプのタイプ。本作はそのシリーズの第2作です。彼は刑事時代には捜査四課、暴力団関係の部署にいた…と言っても、ハードボイルド的な感じはほとんどありません。暴力行為も辞さないのはもう一人の主役、「恐ろしく危ない美形の女刑事」東條有紀の方で、本作では第2章から登場します。
プロローグが25年前の出来事と、5年前の殺人事件のもの、2つあります。25年前に偶然出会った女を探してほしいという、盲目のヴァイオリニストからの依頼を受けて、鏡事務所で調査を始めると、5年前の事件とのつながりが見えてきて、という筋書きは、よくできています。人を踊らせるトリックの原理はシンプルで意外性がありますが、実現のための細かい手順が少々煩雑です。
なおタイトルの意味は、殺人事件がほぼ解決した後で明らかになります。

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